1. タヒチ島の中心、タヒチア…
1. タヒチ島の中心、タヒチアン航海カヌーの故郷へ
2014年〜2017年、ホクレアは世界18カ国150以上の港を訪れる、Mālama Honua(世界一周航海)へと出航した。「地球をいたわる」航海の中で、地球という島に住む人々に出会い、彼から学んだこと、彼らとのつながりを発信しています。ハワイを出港し、先祖伝来の海の路をたどってポリネシアへ。ここでは、タヒチでの航海の様子を紹介します。
2014年〜2017年、ホクレアは世界18カ国150以上の港を訪れる、Mālama Honua(世界一周航海)へと出航した。「地球をいたわる」航海の中で、地球という島に住む人々に出会い、彼から学んだこと、彼らとのつながりを発信しています。ハワイを出港し、先祖伝来の海の路をたどってポリネシアへ。ここでは、タヒチでの航海の様子を紹介します。
ホクレアクルーはパペーテの喧騒から離れ、ファレハペの渓谷へやってきました。ファレハペはタヒチの伝統航海カヌーであるファアファイテの生まれ故郷です。
ファアファイテの守り人であるマタヒ・テゥタバエはこう言います。
「この場所はファアファイテが生まれた場所です。カヌーは私たちにとって大事な存在です。カヌーがこの地に私たちを運んでくれました。謙虚でいること、尊敬の念をもつこと、アロハでいること、そういった今日の私たちを支える価値観も先祖が太平洋をカヌーで渡ったからこそ生まれた概念です。カヌーが私たちの起源であり、私達たらしめるものです。」
「このマラエのような文化材をクプナたちが残してくれました。私たちにとってマラエは陸上のカヌーのようなものです。先祖とつながる精神的な存在としてのカヌーです。」
クルー達はファレハペのマラエを訪問し、捧げ物やお祈りをしました。一般的な船乗りはこのようなことはしないかもしれませんが、カヌーに乗って伝統航海をする者にとっては大切な日常の風景です。
クルーの一人であり文化プロトコルを専門にするマヤ・サフェリーはこう加えます。
「私たちの先祖はただの航海士や船乗りではありませんでした。お祈りやチャンティングをすることがほとんどだったといっても過言ではありません。私たちが彼らと同じようにすることは先祖に感謝することにもつながり、彼らが残した知恵を受けつぐことにもつながります。」
マヤはファレハペで「テ・ウラ・ワヒネ」というフラを奉納しました。ハワイの神様ペレはハワイに移る前にファレハペに住んでいたと言われます。「テ・ウラ・ワヒネ」は彼女のタヒチ語の名前です。
「ペレが住んでいた場所を自分の目で見て体験することは本当に大切なことでした。滝や雨の中に彼女を感じることができました。ペレの故郷であるこの場所で私は『ア・カルナ・オ・プウオニオニ』という曲を奉納しました。この曲からマラマホヌア(地球をいたわる)というテーマを感じ、選びました。この地から個人の体と心から始めるという意味で、です。」マヤは言います。
海の上に限らず、このように陸上においてもカヌーは私たちに何かを教えてくれます。
マタヒ:「今日私たちが学んだことは無くなりかけようとしています。無くなってほしくなければ、先を見据えてしっかりと考えなければなりません。カヌー上では人々が学ぶことを止めれば、やがて学びも人々もどちらも消えて無くなるでしょう。陸の上でも同じことです。子どもたちを失いたくなければ、彼らにこれらの学びを引き継いでいかなくてはいけません。先を見据えなければなりません。カヌーは学びの場です。島から島へ何の目的もなく航海するわけではないのです。目的をもって、どこに進むかを知って航海します。陸の上でも同じことです。ファアファイテは叡智と美しさを備えた素晴らしい教室です。私たちに大切なことを教え続けてくれる存在です。」
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