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8. バージニア州タンジール島 つながる島の民のこころ

2021.07.20

2014年〜2017年、ホクレアは世界18カ国150以上の港を訪れる、Mālama Honua(世界一周航海)へと出航した。「地球をいたわる」航海の中で、地球という島に住む人々に出会い、彼から学んだこと、彼らとのつながりを発信しています。アメリカのヴァージニア州タンジール島へ寄港したホクレア。ここは、アメリカ国内で初めての気候変動また海面上昇によって水没が危ぶまれている場所。海とともに生きるタンジール島の人々との素晴らしい出会いの旅を紹介します。

2014年〜2017年、ホクレアは世界18カ国150以上の港を訪れる、Mālama Honua(世界一周航海)へと出航した。「地球をいたわる」航海の中で、地球という島に住む人々に出会い、彼から学んだこと、彼らとのつながりを発信しています。アメリカのヴァージニア州タンジール島へ寄港したホクレア。ここは、アメリカ国内で初めての気候変動また海面上昇によって水没が危ぶまれている場所。海とともに生きるタンジール島の人々との素晴らしい出会いの旅を紹介します。

ホクレアの世界航海を振り返り、タンジール島のウォーターマンであるジョージ・キャノン氏はこう話す。「ホクレアは時間をかけて世界を航海し、彼らの伝統を伝えている。その一方で私たちは自分たちの伝統を失いつつある。伝統を失ってしまうのはもう時間の問題です」

ポリネシア航海協会会長のナイノア・トンプソンはタンジール島との出会いをこう振り返る「航海計画を立てるそのリサーチをする中で、タンジール島のことを知りました。当初は大きな環境問題に直面する場所として名前が挙がってきました。」

タンジール島の市長のジェームス・エスクリッジは「この島では毎年25から30フィートのスピードで海岸線が失われています」

ナイノア:「このままでいくと彼らはアメリカ国内で初めての気候変動また海面上昇によって故郷をおわれる難民となります。この水没していくコミュニティーのストーリーを捉え、航海を通して多くの人に知ってもらうために、この島への寄港を計画しました。」

エスクリッジ市長:「気候変動、海面上昇という問題はこれまでもずっと存在したが、自分の玄関先まで海面上昇が届くほどになってようやく人々はこの問題に目を向けるようになったのです。私たちには時間はほとんど残されておらず、早急の対策が必要なです。」

気候変動、海面上昇、沿岸浸食の複合的な問題の結果として、アメリカで最初に水没が危ぶまれるヴァージニア州タンジール島。同じ島の民として彼らが直面している状況について学ぶことはホクレアクルーにとってとても避けて通ることができないことでした。

エスクリッジ市長:「ホクレアが私たちの島に来るということで、ホクレアの歴史やこれまでの航海について調べて読んでみました。ホクレアが私たちの島を世界航海の寄港地の一つとして選び、こうして私たちの港を訪れ、そして、乗船させてもらえたなんて、本当に信じられません。」

ジョージ:「ホクレアでの航海はとても素晴らしい体験でした。私の人生の大切な一部となりました。妻にはこう伝えました。『本当に素晴らしい。もうこれで心置きなくうちに戻れる。さあ、うちに帰ろう。』ホクレアに乗るのは最初少し怖く感じました。でも乗ってみたら、彼らの御先祖が航海している絵が頭に浮かんで。。。そしたら彼らも神を信仰し、大きな存在に守られて航海しているんだと分かりました。」

ナイノア:「ホクレアの上で彼らと話をしていて、彼らは誇り高き海の民であることが伝わってきました。彼等を取り囲む状況は彼らを『アメリカ国内初の気候変動による難民』と呼ぶかもしれないけれど、彼等は自分たちをけっして『難民』などと呼ばないし、そんな基準によって自分たちを定義付けされることを断固として拒否するでしょう。」

エスクリッジ市長:「タンジール島はとても特別な場所です。人と人の繋がりがとても濃く、皆助け合って生きてきます。タンジール島ではみな知り合い同士です。この島では数百年もの間、漁そしてカニ漁を中心に島民は生活をしてきました。安全で子供にとっては最高の環境です。漁師の仕事は浮き沈みが多く大変ですが、ここでの生活はとてもいいものです。」

ジョージ:「古くから伝わる伝統とお互いを大切に想う気持ちに満ちたタンジール島での生活はいいものだとずっと思ってきました。」

ナイノア:「彼らと時間を過ごし、話をする中で、彼らがどれだけ故郷であるこの島と島の子供達を大事にしているのかが伝わってきました。彼らの生活の軸にはつねに家族があるのです。」

タンジール島の人びとは現在アメリカ連邦政府と陸軍工兵隊と連携し、これ以上タンジール島の海岸線が失われないように対策をとっています。

ナイノア:「彼らは真面目で努力を惜しまない人々です。きっとこの問題への解決策を見出すと信じています。彼らの御先祖様たちもこれまで様々な問題を乗り越えてきたように、きっと彼らも解決策を見出すに違いありません。タンジール島はハワイとよく似ています。ここにきて、彼らとの出会いを通して本当に大切なものは何なのか考えさせられました。タンジール島はハワイに戻った時に何をすべてきなのか深く考えさせてくれた場所です。」

ジョージ:「自分たちと同じような人に出会った。皆さんは私たちと同じ心を持っている。なんて素晴らしいことだろう。」

「これがカヌーと航海の力なんです。世界航海の不思議な力がこうして、私たちをある場所に導き、そこに住む人々と出会うのです。そして、航海に出る前は想像さえもできないような深い絆が生まれるのです。これが航海が可能にしてくれることなのです。」

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