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アフプアア…

アフプアア

2021.07.20

「アフプアア」は、古代ハワイの人々が使っていた土地区分のこと。水が山から海に向かって流れ、パイ字型に広がっています。 古代ハワイの人々は、山から海へと繋がる「アフプアア」を、ちょうどひとつの村のような単位としながら、その森や川、海から多くの恵みを得ながら暮らしていました。

「アフプアア」は、古代ハワイの人々が使っていた土地区分のこと。水が山から海に向かって流れ、パイ字型に広がっています。 古代ハワイの人々は、山から海へと繋がる「アフプアア」を、ちょうどひとつの村のような単位としながら、その森や川、海から多くの恵みを得ながら暮らしていました。

「カヌーはアフプアアなしには航海できない」

ハワイにはそんなことわざがあります。さてここで言う「アフプアア」というのは一体、何を指すのでしょうか?

「アフプアア」というのは、 古代ハワイの人々が使っていた土地区分のことです。

多くの「アフプアア」は、山の頂上から水の流れを辿って海に向かい、パイ字型に広がっています。 古代ハワイの人々は、山から海へと繋がる「アフプアア」を、ちょうどひとつの村のような単位としながら、その森や川、海から多くの恵みを得ながら暮らしていました。

航海カヌーを作るための丸太、マストや帆などの材料、また実際に海に出て航海するのに必要な食料なども、すべてこの「アフプアア」から得ていました。

「カヌーはアフプアアなしには航海できない」ということわざは、「アフプアア」が健全な状態でなければ、カヌーを造り、海へと航海に出ることはできない、ということを表しています。

カヌーを作るのに木材以外の素材も使うようになった現代でも、「カヌーはアフプアアなしには航海できない」ということわざは、ハワイに大切に受け継がれています。森から海へと広がる「アフプアア」の豊かな自然、そしてそこに暮らす家族やコミュニティの支えがあってこそ、航海を実現することができる。それは今も昔も変わらず、クルーがとても大切にしている考えです。

森の恵みでカヌーを造る

1)カヌー船体

カヌーの船体には、ハワイの固有種であるコアの木が使われていました。 コアの木は硬くて丈夫なことで知られています。 カヌーを造るほどの大きさのあるコアの木は、ハワイでは残念ながらとても数少なくなってしまっています。1991年から始まった伝統航海カヌー「ハワイロア」の建造では、カヌーを造れるだけの大きさのコアの木を、ハワイの森から見つけることができず、アラスカからの先住民族の森から、トウヒの巨木を譲り受けることになりました。

カヌー船体

ハワイではコアの木の植林活動が始まり、ゆっくりと時間をかけながらコアの森の再生への取り組みが行われています。

コア植樹

2)マスト

大きな帆を支えるマストには、真っすぐに伸びたオヒアの木が適しています。赤く美しい花をつけるオヒアの木は、神話の中にもよく登場するハワイの固有種です。オヒアの木とその花レフアは、ハワイの人々にとって、とても神聖な植物のひとつで、ハワイの神クーやカネの住処とも地上での姿とも考えられてきました。

オヒア

マスト

2010年ごろからオヒアの木を数日~数週間で急速に枯れさせてしまう菌類が発生し、急速に広がりつつあります。病気はRapid ʻŌhiʻa Death(ROD)と名付けられ、当初はハワイ島でのみ確認されていたのが、カウアイ島、マウイ島、オアフ島でも確認され、17万エイカーを越すオヒアの森が影響を受けいていると言われています。菌類は土の中でも繁殖し、人間の活動によって広がってしまう恐れがあるため、ハワイ州の農務省が新規則を設けるなど、RODの拡散を防ぐ取り組みをしています。

3)帆

現代の帆に使われているような強いキャンパス地のなかった古代には、ハラの木(タコノキ)の葉を乾燥させたものを細かく編んで、帆にしていました。ハラの木の葉は、ラウハラ(lau hala、ハラの葉)と呼ばれ、長さ80~180cmにもなります。

ハラの木

ハラの木は、たくさんの気根が地上に出ており、タコノキとも呼ばれる通り、まるでタコが足を広げているような個性的な姿をしています。ハワイの他にもポリネシア、ミクロネシア、メラネシア、オーストラリアなど、広く分布していて、元々ハワイに自生していたのか、ポリネシア人によって持ち込まれたのか、はっきりとは分かっていません。カウアイ島にある100万年前の溶岩流からハラの実の鋳型が見つかり、少なくともその時代からハワイに存在していたと考えられています。

ラウハラ(ハラの葉)の表面は、光沢があり、水や汚れにも強く、葉を細かく割いて編まれたマットは太平洋の島々で古くから広く使われていました。帆に使うためのマットは、その強度を増すために、ラウハラを通常のマットよりもさらに細かく割き、長い時間と手間をかけて手織りされます。 

4)ロープ

航海カヌーは釘を一本も使わずに造られています。船体やデッキは、ロープでしっかりと括りつけられています。釘を使わないことで、海の上でも波などからの衝撃をしなやかに受けとめることができます。現代のヨットなどに使われている強いロープがなかった時代も、人々は強い繊維を持つ植物を見つけ出し、ロープを作って使っていました。

ハワイでロープ作りに使われていた代表的な植物は、オロナやニウ(ココナッツ)です。

オロナの茎は、非常に強い繊維でできており、その茎をしばらく水に浸した後、しごいて縄結いすると、とても丈夫で長持ちするロープを作ることができます。昔は航海のみならず、漁網や釣りにも使われていました。

オロナ

ニウ(ココナッツ)は実を分厚い繊維質でおおわれていて、乾燥させると細かな繊維が残ります。その繊維を縒り合わせながら紐を作ることができます。

ニウ

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