ハワイ版SDGs 「アロハプラスチャレンジ」とは?

2021.05.19

「アロハプラスチャレンジ」は、官民一体となって取り組んでいる、ハワイの経済、社会、環境の分野で定められた2030年までの達成を目指した6つの目標です。アロハプラスチャレンジは、2014年に州知事、各島の市長4人、オフィス・オブ・ハワイアン・アフェア(OHA)が、ハワイ州の持続可能な社会を実現するために開始し、SDGsの目標に対して地域指標を設定し、目標達成状況を追跡するための枠組み備えています。

ここでは「アロハプラスチャレンジ」がどのようにして誕生し、それぞれ目標がどのような内容のものなのかを取り上げています。

SDGs目標達成のために観光はいかに貢献できるのか

2015年9月の国連サミットで「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択され、2030年までの国際目標「持続可能な開発目標(SDGs)」は、持続可能な世界の実現のための17のゴールと、169の関連ターゲットを構成し、地球上の誰一人として取り残さないことを誓っています。世界中で経済、社会、環境の三側面を統合的に捉えて活動することの重要性が認識され始めています。国連世界観光機構(UNWTO)で は、観光はすべての目標に直接的または間接的に貢献する潜在力があり、SDGsの目標達成に向けて観光による恩恵を活用することは、アジェンダを実行するために極めて重要と位置付けています。特に包摂的で持続可能な経済成長、持続可能な消費と生産、海洋及び海洋資源の持続的な活用に関する目標8、 12、14 を、観光分野における主要テーマに挙げ、「学ぶ」「共有する」「行動する」の実践を促しています。

SDGs 「ローカル 2030ハブ」に認証された「ハワイグリーングロース」

2011年11月、ハワイ州ホノルル市で開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で採択されたホノルル宣言に応え、ハワイ州政府、文化団体、経済界、学術団体、慈善団体から60人を超えるリーダーが任意団体「ハワイグリーングロース」を発足しました。ハワイグリーングロースは2018年11月、太平洋地域で初めて国連SDGsの「ローカル2030ハブ」(Local2030 Hub)に選ばれました。因みにアジアでは唯一、静岡市が選ばれています。ローカル2030ハブの取り組みには地域性とテーマ性が必要で、地域性ではSDGsに関する優先目標を地域社会で特定し、地域の需要に対応する革新的な取り組みを実践していきます。テーマ性では成功事例を展開し、SDGsを地域で実現するための主要問題の意識啓発を促していきます。

ハワイグリーングロースは、持続可能な社会の実現のための課題に対し、ハワイ独自の文化、価値、知恵に基づいた課題解決策を開発するため、2011年以来、ハワイにおける優先目標を明確にして、資金調達の仕組み、政策を検討し、SDGsの目標に沿ったハワイ版SDGs「アロハプラスチャレンジ」の構想と、2030年目標にむけた達成状況を追跡するための共同指標「ダッシュボード」の開発に取り組んでいます。

【ハワイがローカル 2030ハブに認証されるまで】
2011年:アジア太平洋経済協力会議(APEC)サミットにて、「ハワイグリーングロース」構想が掲げられる
2014年:持続可能な社会の実現に向けて進める6つの取り組みを掲げる社会目標「アロハプラスチャレンジ」が制定
2015年9月:国連総会で持続可能な開発目標(SDGs)が正式に採択される
2018年11月:ハワイグリーングロースが太平洋拠点として初めて国連SDGs「Local2030」のプロジェクトハブにはじめて認証される

「アロハプラスチャレンジ」6つの目標について

「アロハプラスチャレンジ」は国連が定めたSDGsに沿って作られたハワイ版SDGsであることはお分かりいただけたかと思いますが、ハワイ州が2030年までの達成を目指す6つの取り組みとは実際にどのような取り組みなのでしょうか?

1. クリーンエネルギーへの転換

2030年までにエネルギー供給量の70%をクリーンエネルギーへ転換。70%のうち40%を再生可能エネルギー、30%をエネルギー効率として転換。2045年までに100%代替エネルギーで供給することを目標にしています

2.地元産の食料供給

現在ハワイの食料自給率は約10%。2030年までにハワイ州の食料生産量を2倍に増やし、消費される食料の20~30%を地元産のもので賄う目標を掲げています。地元産食料価格を低減する他、食料廃棄物の削減も目指します。

3.自然資源の管理

淡水の確保、河川流域の森林30%を保全、地元住民主導型の海洋資源管理、外来種抑制、ハワイ固有種の保護などを通して自然資源の保全を目指します。また、淡水の確保や外来種へのバイオセキュリティ計画も含まれています。

4.廃棄物の削減

リサイクル、生物学的変換、生活習慣の改善、ゴミ・排水処理の方法開発などによって2030年までに70%の廃棄物削減を目指します。資源の再利用やリサイクルにも取り組みます。

5.持続可能なスマートコミュニティの形成

2030年までに経済的な豊かさや、交通手段の幅広い選択肢、災害からの回復力、温室効果ガスの排出削減、生活しやすい社会の形成を目指します。住宅費や交通費の削減、公共空間の多様化、土地利用の改善も含みます。

6.グリーンジョブ&環境教育

2030年までに、質の高い教育、雇用、労働力や専門的な能力の開発、イノベーションと起業機会の創出、持続可能な観光促進、経済の多様性を強化し、グリーン成長の見通しを高め、地元のグリーンジョブや環境教育を増やします。

この6つの取り組みについて、ホテル、アトラクションの取り組み事例をご覧いただくと、よりわかりやすいかと思います。

「アロハプラスチャレンジ」達成に向けた観光の役割

観光は雇用創出、環境保全、文化継承に貢献しており、アロハプラスチャレンジの目標を達成する上で、観光の役割は多岐に渡ります。ハワイ州観光局は、すべての利害関係者と知識や優良事例を共有し、地域社会との関係を強化することで、より豊かな観光業と地域社会の確立を目指します。

また、海岸清掃や植樹活動、文化継承の野外体験など、ハワイで活躍する非営利団体の活動を支援し、旅行者も参画できるプログラムの開発を共に進めています。

(写真右:固有種の森を再生する活動)
(クレジット:Hawaii Tourism Authority (HTA) / Heather Goodman)

「アロハプラスチャレンジ」リンク

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