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日本人クルー紹介: 西村一広 …

日本人クルー紹介: 西村一広 氏 Vol. 03

2021.07.19

日本人クルー紹介:2001年のホクレアとの出会いときっかけに、2007年のホクレア日本航海をサポートをされてきた西村一広氏。ホクレアに関わりながら、同時に運営されている一般社団法人うみすばるの活動についてお話しいただきました。

日本人クルー紹介:2001年のホクレアとの出会いときっかけに、2007年のホクレア日本航海をサポートをされてきた西村一広氏。ホクレアに関わりながら、同時に運営されている一般社団法人うみすばるの活動についてお話しいただきました。

西村 一広 氏 プロフィール

プロセーラー/東京海洋大学講師(海洋工学部)                                                有限会社コンパスコース 代表取締役/一般社団法人うみすばる 代表理事 
https://compasscourse.jp/

2001年のホクレアとの出会いときっかけに、2007年のホクレア日本航海をサポート。その後、2009年パルミラ環礁航海の復路にサポート艇カマヘレクルーとして、そして、2008年〜2013年には断続的にハワイ周辺海域でトレーニングに加わり、2015年ホクレア世界一周航海のインド洋横 断レグにクルーとして参加。

ホクレアそして今

広島で思慮深い考えを持つ若者たちの内面に触れて強く感銘を受け、ホクレアの航海が、自分たちの文化と民族の誇りを次世代ハワイ人たちに思い出させるだけでなく、他の文化まで敬うような、深みある思慮を持つ人間にもさせるチカラがあることを知りました。

広島でのことは深く心に染み入り、本来ぼくが日本でやりたいと考えていた、「次世代たちに日本オリジナルの海洋文化のことを知ってもらう」活動をするにあたり、ホクレアでの実習・伝統航海術の継承や伝統航海カヌー(ホクレアを含む)修繕・教育プログラムなど、ポリネシア航海協会(Polynesian Voyaging Society)が行なっている海洋実習についてもっと深く知りたい、それを日本での自分たちの活動に生かしたい、と考えるようになりました。そうして、それを学ぶために、ぼくのポリネシア航海協会とホクレア通いが始まりました。

そのハワイ通いの初期の頃には、つい先日亡くなってしまった伝統航海術師のカレパ・ババヤンのハワイ島の家に泊めてもらいながら、ハワイ大学ヒロ校にあるカレパの研修教室にも毎日島を横断して通わせてもらったりしました。

ホクレアに関わりながら、同時に、本来の自分自身の活動(日本の次世代たちに、セーリングを体験してもらうこと、海を好きになってもらうこと、日本オリジナルの海洋文化に興味を持ってもらうこと、アメリカズカップの日本チームを応援してくれること、自分自身でアメリカズカップを目指すようになること、)を、仕事とは別に、一般社団法人うみすばるという法人を作って続けています。

日本人が設計して日本人が造った、日本オリジナルの小型ヨット10隻を使って、親子でセーリングを体験してもらう活動を、同じ夢を持つ人たちと一緒に、2005年に始めました。この活動では、これまでに5000人以上の人たちにセーリングを体験してもらうことができました。日本人を対象に始めたつもりでしたが、このセーリング体験教室には、日本在住や旅行中の外国人たち(ヨーロッパの国の人、台湾の人、中国の人、韓国の人、など)もごく自然にやってくるようになりました。どの国の人たちも皆楽しそうで、帰るときにはきちんとお礼を言ってくれます。ヨットの上にも周囲の海にも、とても平和な空気が流れていて、うれしいものです。今は新型コロナ感染の影響で活動を自粛していますが、早く再開したいと思っています。

4年前からは、東京都港区立の小中一貫校でセーリングヨット部の監督を任されるようになりました。この学園での部活は、大都市東京の中の、とても狭い海での活動ですが、レースに勝つためのセーリング技術ではなく、子どもたちが大自然とつながりを持つための技術としてのセーリングを伝えるようにしています。このことに加えて、日本オリジナルのセーリング文化や海洋文化について学ぶ場にすることにも軸足を置いています。日本の、小さな、小さなMETC(ホクレアの母港にある、航海カヌーの修復や教育プログラムを提供する海洋トレーニングセンター)のつもりです。

ホクレアが日本に来たとき、ここにも立ち寄ってくれればうれしいなあ。

Photo & mark up by Kazu Nishimura
東京都港区立お台場学園のセーリングヨット部の部員と指導者たち。この写真を撮ったときは部員8名でしたが、今年は部員数が一気に18名に増えました。この部活があるからという理由で、この学園に入学した生徒がいます。うれしいことです。
Photo by Kazi 写真提供:舵社
ビルの谷間を通り抜けてくる風が吹く都会の海は、広い海よりも風を見るのが大変ですが、子どもたちはそれにも順応していきます。すごいものです。はやく広い海で思いっきりセーリングさせたあげたいと願っています。
Photo by Kazi 写真提供:舵社
これは、富士山の麓の湖畔のキャンプ場での、わたしたちのセーリング体験イベントの様子。キャンプ場主催の数々のワークショップの中で一番人気のプログラムになりました。
Photo by Mammoth camp 写真提供:マンモスハローキャンプ

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