ハレクラニのカルチャー・アドバイザー&館内歴史散策ツアー紹介

2022.11.09

新アドバイザー、ヒイナニ・パパパ・ブレイクスリーさん

ハレクラニといえば、ハワイを代表する高級リゾートの1つですね。2017年に創業100周年を迎え、2020年から始まった大がかりな改装が昨年終了。その後も施設やサービスの刷新は続き、今年8月にカルチャー・アドバイザーという要職が創設されたのも、ホットなニュースでした。

ハレクラニ初代カルチャー・アドバイザーに就任したのは、ヒイナニ・パパパ・ブレイクスリーさん。2008年からスパ・ハレクラニのセラピストを務めているほか、2013年の開始以来、館内歴史散策ツアーを担ってきた人でもあります。実は同ツアーを一から構築したのもヒイナニさんです。その興味深いツアー内容が高く評価され、同年、ワイキキのビジネスを統括するワイキキ・インプルーブメント協会より名誉あるジョージ・カナヘレ・ホオキパ賞も受賞しています。

このたびのカルチャー・アドバイザー就任に際し、ヒイナニさんが目指しているのは「全てのゲストに島の歴史を知っていただくこと」とか。「島には長い歴史があり、たとえばここワイキキもカメハメハ大王が諸島統一の戦いの際に上陸した場所であるなど、過去の物語があります。ここがどのような土地で、私たちがどんな民族か。そういったことをお伝えしていければ嬉しいですね」とヒイナニさん。

また日本人ゲストに対しては、「ハワイと日本の関係は長く、カラカウア王が世界一周の旅の始まりに日本を訪問した時代に遡ります。ハワイは日本の影響も色濃く、今のハワイの成功には日系人の寄与するところも大きいのです。ぜひハワイにいらしてくださいね」との温かいメッセージを、寄せてくれました。

ハレクラニの過去を巡る館内歴史散策ツアーとは?

歴史ツアーは約1時間半。その内容はハレクラニの歴史を超えてハワイ王国や王族の逸話にまで広がり、ヒイナニさんの深く広い知識を聞きながらの散策は、歴史好きの私にとってたまらなくワクワクするものでした。以下、ツアーの内容をかいつまんで紹介していきましょう。

歴史ツアーは、中庭に面したコンシェルジュデスク前からスタート。話はハレクラニが誕生する以前の時代にまで遡ります。ここには元々ハワイアンの村があり、11世紀の住居跡も出土しているとのこと。そして「ハレクラニの原点となったのがハワイ王国時代の1883年、ロバート・ルワーズ氏が建てた8寝室の屋敷」とヒイナニさんは語ります。

ルワーズ氏は建築材の輸入業で財を成した人で、豪奢な屋敷で常に人をもてなし、目前のビーチも漁師に開放し感謝されていたそう。交流があった漁師の一人がルワーズ氏の屋敷を「ハレクラニ(天国にふさわしい館)」と称したことから、現在のホテル名があります。

ちなみにホテル前のルワーズストリートの名も、このルワーズ氏にちなんだもの。ルワーズ氏はハワイ語が堪能で王族とも親交が深く、義理の弟夫妻はカラカウア王&リリウオカラニ女王の相談役でした。ルワーズ氏の屋敷には時に200人ものゲストが集まったそうですから、高貴な人々も海辺のこの屋敷を訪ねていたのではないでしょうか。

時は流れて1917年、この地を引き継ぎホテル「ハレクラニ」を始めたのが、ハレイヴァホテルのオーナーだったクリフォード・キンボール氏。キンボール氏は隣接した土地を徐々に買い取り、ホテルの敷地を拡大していきました。キンボール氏がルワーズ一家の屋敷跡に1932年に建てたホテル本館は今なお残されており、大幅に改装されてはいますが、溶岩でできた1階の入口アーチや2階の手すりなど、今だオリジナル部分が残されています。

【上:レストラン「オーキッズ」や「ラ・メール」があるホテル本館】

1960年代になるとホテルはキンボール一家から新オーナーの手に渡り、さらに代替わりしてハレクラニコーポレーション(三井不動産アメリカ)に経営が引き継がれたのが、1981年。ヒイナニさんによればプールの底のオーキッドのモザイクや、ホテル全体のトーンに白を採用したのも、当時の同社役員とか。

取り壊しが予定されていた1932年建造のホテル本館を残すよう提言したのも同役員と知って、フと嬉しく感じた日本人は、何も私だけではないでしょう。

【上:ホテル内には日本にゆかりのある芸術品も多い。入口近くにある古代ハワイで王族だけが身に着けた羽毛のヘルメットをかたどった彫刻は、ハレクラニコーポレーション役員の「気品とエレガンスのあるモチーフを」という要望に従い、アメリカ人彫刻家チャールズ・ワトソン氏が仕上げたもの。インドの大理石をまず日本の四国に送り、彫刻家イサムノグチ氏の企業とのコラボレーションにより完成した】

ツアー終盤ではプールサイドへと移動し、ハレクラニの象徴ともいえる有名なケアヴェの木のもとへ。1887年に植えられたこの木はカソリック神父がパリの王宮庭園から持ち込んだ木の子孫だそうです。樹齢130年を超えるケアヴェの木が2016年に倒れた時には多くのスタッフが涙を流し、横たわった木の前で集合写真を撮ったことを、ヒイナニさんが教えてくれました。幸い、木は枯れることなく命を繋ぎ、一部伐採された枝からはいくつもの花器が作られ、ホテル各所に飾られています。

ツアー最後に聞いた、ホテル前の海の言い伝えも印象的でした。海底から淡水が湧き出すその海は古来、癒しのエネルギーを持つと信じられてきたそう。心身の問題を解き放つ場所とされ、「この海はカヴェへヴェへと呼ばれます。カヴェへヴェへはハワイ語で『取り除く』という意味なの」とヒイナニさん。王族時代からホテルの黎明期、そして土地の逸話まで盛りだくさんな内容に、1時間半があっという間に過ぎていきました、

なお歴史ツアーは宿泊客限定で、毎週金曜朝8時から開催中。参加は無料ですが事前予約が必要です。またハレクラニでは同ツアーのほかにもさまざまな文化体験を提供しており、宿泊客は無料でイオラニ宮殿やビショップ博物館、ホノルル美術館といった6つの施設、ホノルルシンフォニーのコンサートを楽しめるという、至れり尽くせりの特典が好評です。

特筆すべきは、ホノルル美術館所属の「シャングリラ」への訪問ツアーでしょう。シャングリラはイスラム芸術の集大成のような豪奢な美術館。以前は個人所有だった邸宅が、現在は予約制で公開されています。予約の取れないことで有名なこの美術館を訪れる、ハレクラニ宿泊客限定のツアーが月2回あると聞き、驚きました。

「ハレクラニは、文化を大切にしてきたホテル。ゲストの皆さんにも、文化をたっぷり体験していただきたいのです」と、ヒイナニさん。次はハレクラニで、文化にどっぷり浸かるハワイの休日を過ごすのも素敵ですね。

宿泊者向けの各種特典の詳細については、ホテルのホームページで確認ください。

Halekulani's "Art of Hospitality" - Hi'inani

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