カウプレフの伝説

2015.05.19

コナ空港からハイウェイ19号線を5マイルほど北に行くと、フォーシーズンス・ホテルがあるフアラライ・リゾートが海側にあります。この一帯は、ハワイ語でカウプレフと呼ばれるエリア。焼いたブレッドフルーツという意味を持つこの地名は、ハワイの伝説がルーツです。

カウプレフ一帯は、かつて海沿いに大きな汽水の湖があり、たくさんの魚をそこで飼育できる漁村でした。ある日、フアラライ山のほうからひとりの老婆がこの漁村近くに尋ねてきます。

旅で疲れ、おなかがすいていた老婆は、養魚池の魚を少しわけてもらえないかと村の警備の男に頼みます。しかし男は、この池はアリイ(貴族)のものだからと断り、老婆を追い返してしまいました。その出来事をみていたひとりの漁師は、気の毒に重い、自分が穫って来た魚を老婆に差し出しました。すると老婆は「その夜、自分の家の戸口に布を結びつけておくように」と不思議な言葉を漁師にささやいて村を後にしたのです。

ふたたび旅を続けた老婆は、村の近くでパーヒナヒナとコロムオというふたりの若い女がブレッドフルーツを料理しているところに出会いました。パーヒナヒナは自分のブレッドフルーツをこの一人旅の老婆に分け与えることにしました。しかしコロムオは、これは神への捧げ物なので、とシェアすることを断りました。すると老婆は、パーヒナヒナにも、その夜、家の戸口に印になる布を結びつけておくようにという不思議な言葉を残して立ち去りました。

その夜、フアラライ山から真っ赤な溶岩流がこの村の方角へと流れてきました。溶岩はたちまち村も養魚池もすべてを呑み込んでしまい、後に残ったのは、この漁師とパーヒナヒナの家だけだったといいます。あの老婆は火山の女神ペレが人間に姿を変えてあらわれたのだと村人その時悟ったのでした。

写真:カウプレフのカフワイ湾をコナ・ヴィレッジ・リゾート敷地内から望む(コナ・ヴィレッジ・リゾートは現在休業中)。カフワイ湾は、1801年のフアラライ山噴火による溶岩流が押し寄せる前は、ずっと大きな湾だったとか

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