ラハイナを襲った炎を生き延びた!バニヤンツリーってどんな木?

2023.10.20

ハワイの街を歩いていると、このような木にあちこちで出会います。見たことがある方も、いらっしゃいるのでは?

インド原産の「バニヤンツリー」、ハワイ語では「パニアナ」、日本では「菩提樹」と呼ばれる木です。木にしては何とも独特な形をしていて、複数の木が集まっているようにも見えますが、それでも1本の木。日差しが強いワイキキの街に日陰を作り、人々に涼しさをもたらしてくれています。

生きていたラハイナのバニヤンツリー

ラハイナのバニヤンツリー、かつての様子。

2023年8月に発生したマウイ島ラハイナでの山火事により、町はほぼ全域に渡って甚大な被害を受け、アメリカで最大の大きさを誇ったラハイナのバニヤンツリーは焼けてしまいました。しかしその後、木が生きていたことが判明!ボランティアの方々の懸命な救護活動もあって、焼けてしまった枝から、元気な緑色の葉が出てきました。このバニヤンツリーは、1873年に、ラハイナに最初のキリスト教宣教師が降り立ってから50周年を記念して植樹されたものなのだそう。これから木が次第に元気を取り戻し、再びラハイナの町を鮮やかな緑色の葉で覆ってくれるといいですね!

空中に「根」が伸びてくる!

バニヤンツリーは、横に伸ばした枝の途中から、何本もの細い「根」(気根)を降ろし、地面に向かって伸ばします。それらが絡まり合って地面に到達すると、こんな感じに。

ブラブラとしていた根が地面に着くと、しっかりと固定され、さらに表面がカバーをかけたように、スベスベに固まっていきます。そして、横に伸びる枝を支え、木全体が大きく横に広がっていきます。

こちらは、ワイキキのインターナショナル・マーケットプレイスにある歴史あるバニヤンツリー。1800年代中頃に、この地に住んでいたニュージーランド人のご夫妻が植えたものということで、その後、同じ場所に住居を構えた王族たちの様子も見守り続けてきた木です。年代が経てば経つほど、迫力ある姿を見せてくれるバニヤンツリー…

生えていたヤシの木に根が絡みつき、そのまま成長することで、根がヤシの木を飲み込んでしまったように見える所も。(写真右側の根)

バニヤンツリーは、横に広がることで大きな日陰を作り、涼しさをもたらしてくれることで、庭にバニヤンツリーを植えるご家庭もワイキキでは見られました。現在シェラトン・プリンセス・カイウラニのある辺り、かつてカイウラニ王女の暮らした家の庭にも、立派なバニヤンツリーがありました。

一番右の枝に腰かけているのがカイウラニ王女。写真:Hawaii State Archives

バニヤンツリーが見られるスポット

モアナサーフライダー、ウェスティン・リゾート&スパにあるバニヤンツリーも見事です。

ホテルの開業が1901年、その後の1904年に植樹されたこちらの木は、およそ120年もの間、人々を見守り続けています。

パーティーに集まった人々が、バニヤンツリーの下でひと時を過ごす様子。写真:Hawaii State Archives

ロイヤル・ハワイアン・センターにあるバニヤンツリーでは、枝の上で子育てする白い鳥「ホワイトターン」がよく見られます。

枯草などで巣を作らず、そのまま枝の上で暮らす鳥で、枝の上で孵化した赤ちゃんが、親鳥の帰りを待つ姿も見られます。とても可愛いので、しばらく見とれていると、親鳥が戻ってきて威嚇してくることもあるのでご注意を!(筆者はよく威嚇されています…)

イオラニ宮殿の敷地内にあるバニヤンツリーは、ハワイ王国7代目国王のカラカウア王の妃、カピオラニ女王が植樹したものと言われています。立派に育った姿に重なるのは、ハワイ王国最後の女王、リリウオカラニ女王の銅像です。

今回ご紹介したバニヤンツリーは、文化・歴史的に重要な意味を持ち、かつ、周辺の生態系の保全に必要であるとされる「エクセプショナル・ツリー」として、ホノルル市郡に登録されています。バニヤンツリーは、ハワイの街を散策すると、あちこちで出会えますので、ぜひ近くで見てみてください。

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