コーディネーターの旅するキラウエア火山の歩き方

2022.11.02

誰もが一度は訪れてみたいと願うハワイ島にあるハワイ火山国立公園。マウナロアとキラウエアの2つの巨大な活火山を有し、とにかく壮大!どこをどう見ればいいのか、これがとにかく悩ましい。
私もハワイ島へ行きはじめた頃は、ツアーに参加したり、全ての道をドライブしたり、何時間も溶岩大地を歩いてみたり、まあいろいろと試してみました。20年の時をかけて到達したコーディネーター的目線でおすすめするハワイ火山国立公園の歩き方。いいとこ取りで楽しめ、かつ火山へ来るのが初めての方、子供連れでも安心。
そして、噴火に伴う溶岩の流れる様子が見られる今の見どころもあわせてご紹介します。

火山国立公園への入り口は1カ所。なので間違うことはありません。そこで入場料を払い、地図付きのパンフレットをもらったらまずはビジターセンターへ。民間のツアーに参加しない場合は、レンタカーで園内をまわりますが、これが落とし穴。よっぽど歩くのが好きでないと、車で見て回ってお腹いっぱいとなってしまう。これではもったいないんです。ぜひ自分の足で歩く時間をもってほしい。

まずは火山国立公園が主催している「Explore the Summit」という1時間のハイキングツアーに参加したい。開催は1日2回、予約不要でしかも無料。指定の時間になるとビジターセンターに続々と人が集まってきて、だいたいその数50人ほど。

パークレンジャーに付いて、ビジターセンターを出発し、ボルケーノハウス横の森を通り、この土地に根付くハワイ固有種の植物や動物の話を聞きながら、クレーター・リム・ロードという車道だったところが溶岩が流れ現在はハイキングコースになっている道を歩きます。舗装された道路をずっと行くので、車椅子もベビーカーもOK。

これがこのツアーのポイント。あらゆる年代の人が気軽に楽しめるコース設定になっています。家族全員での思い出写真はゴールのサミットで。火の女神ペレが棲むと言われるハレマウマウ火口の様子を上から眺められる絶景スポットは風が吹き気持ちがいい。

次に向かうのはビジターセンターからクレーターリムドライブを走り車で数分ほどで着く「Thurston Lava Tube」。500年ほどの前のキラウエア火山噴火の際に流れた溶岩流の外側が外気に触れて固まり、中の溶岩流は熱いまま流れ出たことによって形成された空洞です。

ひんやりとした神秘的なトンネルに1000度以上の溶岩が流れていたと思うとこの土地のエネルギーを感じずにはおれません。そして、このトンネルのまわりの森は特にハワイの固有植物を守るための努力がなされています。ハワイの植物を見て鳥の声を聞くひとときを持って静の火山体験を。

そして、道路を挟んだ場所が「Kilauea Iki Trail」の入り口。クレーターの中を歩くハイキングはハワイ火山国立公園だからこそできるスペシャルなコース。

ループルートをすべて歩くと3時間ほどかかりますが、クレーターの中に降り立つまでなら片道20分ほど。だから一度は試してほしい!

その時によって溶岩の流れている場所は変わります。現在、ハレマウマウの噴火が一番近く見えるのは「Keanakakoi Crater Overlook」。日没から夜にかけての時間は溶岩の流れる様が刻々と濃くなり、雲が赤く染まり、夜には満点の星空。駐車場から平坦な道を20分ほど歩くだけで地球の鼓動を感じるほどの体験ができる。

今、ハワイではマウナロア山が噴火するかも、というニュースが日々流れています。若いキラウエア火山に比べたらおばあちゃんくらいの年にあたるマウナロア山。おばあちゃんが噴火したらどんなことになるのだろう。撮影の際にいつもお世話になるパークレンジャーのジェシカさんは、危険をなるべく避けられるよう、人命を第一に考えて私たちは対応するつもり。でも自然の力には逆らえないし、自然の見せてくれる光景を目に焼き付け、伝え、忘れないことも大事な仕事だと言います。

この土地は生きている。そしてわたしたちも生きていく。そんな風に火山を去る時にはいつも思い、背筋が少しだけ伸びる気がします。

ハワイ火山国立公園

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