ハワイ在住デザイナー&アーティストのためのマネージメント会社を経営するGalura百合子さんが、ハワイのアーティストたちを紹介。ご自身もハワイ在住で、独自のネットワークを持つ百合子さんならではの情報が満載です。
オアフ島在住の水中写真家、Katharine Kollmanが撮影するフリーダイバーの神秘の世界
ホノルル在住若手写真家のキャサリン・コールマン(Katharine Kollman)さん。数年前、写真を樹脂で固めたユニークなジュエリーブランド、フォテラ(Foterra)のダウンタウンのアトリエを訪問した時に、アシスタントとして働いていたキャサリンさんと出会いました。当時は、若いキャサリンさんが実はフリーダイバーインストラクターの資格を持ちながら、デジタルだけではなくアナログの写真家でクリエイティブ・ディレクターだったとは想像もできず、加えて暗室で写真を現像するスペシャリストでもあるというマルチタレントの持ち主でした。
生まれはウィスコンシン州。ミシガン湖の近くで育ち、海で過ごすことが皆無だった子供時代。カヌーやカヤックの経験はあっても、ダイビングやサーフィンを習うチャンスがありませんでした。故郷を離れ大学生となったキャサリンさんは、生物学とフランス語を専攻しました。大学卒業が近づいた頃、このまま大学院に進むことに違和感を感じ、地元へ戻って就職することに。
「自分が何をしたいのか見失っていた頃、ミシガン湖の小さな波でサーフィンをしているカップルと運命的な出会いを果たしたのです。湖でサーフィンが出来るなんて正直驚きでした。カップルとは友人となり、サーフィンを教えてくれることになったのです。サーフィン文化を彼らから学ぶうちに、その魅力にとりつかれていきました。そして、地元の図書館のサーフィンの本が分類されているところで、ジェームス・ネスター(James Nestor)著の『ディープ(Deep)』と言う息を止めて潜るフリーダイビングの本を見つけたのです」とキャサリンさん。この本との出会いが、キャサリンさんの運命を変えたのでした。
2018年、オアフ島でフリーダイブングのコースを受講したキャサリンさんは、そのままオアフ島に残ることを決意。海中撮影を始めたのは、地元のダイバーたちからインスピレーションを受けてのことでした。特に影響を受けたのが、半世紀以上水中写真家として活躍するウェイン・レヴィン(Wayne Levin)氏。キャサリンさんは「彼が、私が写真を撮り続ける理由でもあるのです」と言います。
2018年に受講したコース以来、キャサリンさんはセーフティーダイバーとフリーダイブ・インストラクターの資格を取得し、若手水中写真家としてのキャリアを築いています。数年前までは想像もしていなかった世界が、キャサリンさんの眼の前で広がっていったのです。水中写真をモノクロで撮るのは、海中のテクスチャーや形状といった特徴を一番よく捉えられるから。地上とは全く異なるミステリアスな世界をフリーダイバーたちの姿を通じて、美しくもユニークに表現しているのがキャサリンさんのスタイルです。モノクロながらも温かみのあるカラーと共にコンテクストが気になってしまう、『余韻が残る作品』というのでしょうか。
暗室で現像をするノウハウは父親から習ったというキャサリンさん。キャサリンさんの父親は高校で写真や現像の授業の教師で、オールドスクールながらも繊細かつ正確な技術が求められる現像プロセスが、写真アートのユニークな体験であり、写真とより繋がりを感じられる特別な時間なのだと言います。現在の目標は新しいコレクションを発表する個展、と語るキャサリンさん。是非チェックしてみてください!
ウェブサイト: https://katharinekollman.com
日本が大好きなハワイ島在住アーティストの絞り染めブランド、Island Love Studio
ハワイ島在住のテキスタイルアーティスト、ゾーイ・ブレア(Zoe Blair)さん。2023年8月にホノルルで開催された、ハワイのメーカーやデザイナーたちが一堂に会する一大イベント、メイド・イン・ハワイ・フェスティバルに初出店していたところを発見。日本の絞り染め技術を使って、ハワイの自然や生き物を表現したアートが新鮮でした。
中国と英国系白人の両親を持ち、シンガポールで生まれ育ったゾーイさんは、イギリス、そしてアメリカ本土と転々とした後、2020年にハワイ島にたどり着いた国際派。小さな時から様々な画材に取り憑かれ、大人になってからもアートは常に情熱を注ぐものであったとゾーイさんは言います。
そんなゾーイさんに運命の出会いが訪れたのは2017年。絞り染めとの出会いでした。当時、ウィスコンシン州マディソンに住んでいたゾーイさんは、絞り染めの基礎講座を受け、その魅力に瞬く間に取り憑かれていきました。絞染めにも様々な技法がある中で、ゾーイさんが最も関心があったのが、下絵の輪郭に沿って糸で縫い、その糸を引き締めて柄を締め出す『縫い絞り』の技術でした。マディソンではこの技術を教えてくれる人も教室もなく、独学で学び試行錯誤を繰り返していきました。そしてデザインを作り、使用する原料も、始めた当初使っていたインディゴから、より発色や再現性に優れた反応染料を使うようになりました。この染料は、濃く鮮やかな染色が行えるのが特徴で、ゾーイさんの作品のベースとなっています。
ハワイ島に旦那さんと移住した際に、フルタイムアーティストになることを決意したゾーイさん。海や島の環境から多くのインスピレーションを受けて、日々作品に取り組んでいます。日本の絞り染めを始めたきっかけは、日本文化の大ファンだったからと語るゾーイさん。
「 お皿に整然と並べられる寿司。食品から家具までシンプルをテーマにした『無印』など、深く観察すればシンプルさの中に複雑さもあるのかもしれませんが、日本文化の美しくもシンプルなところに魅力を感じています。日本の服や生地にも興味があります。もちろん、ジブリなどに代表するアニメや”かわいい”ものも大好きです!」
現在は、絞り染めをしたレーヨンやオーガニックコットン生地をスカーフにしたり、コットン素材のティータオル(風呂敷にもなるそうです!)や、台紙をつけてアートにした作品を作っていますが、まだまだゾーイさんのアーティストとしての旅は始まったばかりです。日本にあこがれ、新しい作品、新しい商品にも意欲的なゾーイさんは、名古屋市有松で毎年開催されている『有松絞りまつり』に行くのが夢だとか。
数少ない休みの日は、人の少ないビーチで波の音や自然のエネルギーを感じるのが大好きだというゾーイさん。彼女が作品を作る環境も、標高500メートルの牧草地で窓から牛や馬が見えるそう。そんな恵まれた環境の中で作り出されるゾーイさんの絞りアートはウェブサイトで見られます。
ウェブサイト: www.islandlovestudio.com
ジェイク・シマブクロとのユニークなコラボレーションが気になる、ハワイ島のアーティスト、Kristie Fujiyama Kosmides
ハワイのアートは、風景画や植物画、サーフアートなどがポピュラーですが、アブストラクトと呼ばれる抽象画はなかなかレアな存在ではないでしょうか。
ハワイ島ヒロで生まれ育った日系4世のクリスティー・フジヤマ・コスミデス(Kristie Fujiyama Kosmides)さんは、子供時代から絵を描くことが好きでした。
シアトルとロサンゼルスのアートスクールで、ファインアートと商業アートを学びファインアートの学位を取得。大学から表彰されるほどの優秀な生徒だったクリスティーさんは、2年後、アーティストとしての自身への挑戦として、ロサンゼルスの高級エリアであるブレントウッドに小さなアートスタジオを構えました。フルタイムアーティストとして頑張るも、絵を売ることの難しさを実感。1年後、スタジオをクローズし、アーティストの道を諦めることを決意した日、画材道具を抱えてアパートに戻ると一人の女性に出会ったのです。
その女性は、クリスティーさんに声をかけたのです。「何を持っているの?」と。自分がアーティストであると説明し、作品を見た女性は、なんとクリスティーさんに高級ショップやレストランが並ぶメルローズ通りのスペースでの個展をオファーしたのです! 2006年のことでした。実はこの女性、クリスティーさんが住んでいたウェストハリウッドのアパートのオーナーでした。ご主人は建築家で、アート業界とのつながりを持っていました。このミラクルとも言える個展をきっかけに、クリスティーさんのアーティストとしてのキャリアがスタートしました。「私は、アーティストであることを一度諦めたのです。あの日に起きた運命的な出会いは、 人間の力を超えた何かが『アーティストであり続けなさい』と、私に伝えたかったのではないかと思えるほどの体験でした」と、懐かしみながらクリスティーさんは語ってくれました。
今では、コレクター以外にもホノルルのダニエル・K・イノウエ国際空港内の入国管理室に続く廊下やハワイアン航空のターミナルエリア、ヒロ空港内ロビー、ハワイ大学、シェラトン・マウイ、ハワイの複数の病院、ヒロのファーマーズマーケットなど多くの場所で彼女の作品を見ることができ、人気アーティストとして日々精力的に活動しています。
クリスティーさんの作品は主に油絵で、筆の音が聞こえてくるような躍動感のあるストロークや、油絵ならではの美しい色使いが特徴的です。目に見えないエネルギーを作品から感じることができます。ハワイの生活、人々、そして場所からインスピレーションをたくさん受けて、その内なる美を、抽象をメインに具象と組み合わせて表現しています。クリスティーさんは、作品を描く工程について「油絵で大きなスケールで描くのが好きです。真っ白い大きなキャンバスの前にいると、大海の中心にいるような感覚を得ます。孤独で、脆くあると同時に生を感じ、つながりを感じます。そして、インスピレーションと開放感が私の筆を動かしていくのです。この脆くて儚い世界の中で、永遠には続くことのない一瞬を、エネルギーと本質を、探し求めて描くのです」と説明しました。
そんな第一線で活躍を続けるクリスティーさんの新しいプロジェクトは、別々のバックグラウンドを持ったアーティスト3人のユニークなコラボレーション「アブストラクト・コラボ(Abstract Collab)」。
ウクレレ奏者のジェイク・シマブクロ(Jake Shimabukuro)氏、映像作家のトレイシー・ニイミ(Tracey Niimi)氏、そしてクリスティーさんの3人によって構成される映像、音楽、そしてペインティングのコラボーレションは、下書きやリハーサルは一切なく、その瞬間に感性のみでクリエイトされていくライブミュージックとペイティングを映像に収めるというユニークなものです。
音楽、アート、デジタルメディアという3つの異なる表現方法を使って、お互いインスピレーションを受けながらオーガニックにそれぞれの作品が完成されていくという自然発生的なクリエーションについて、ジェイクさんはこう語ります。「ウクレレを超える表現を模索していた時に、アブストラクトなミュージックに興味を持つようになりました。クリスティーの作品は、いくつものレイヤー(層)が重なっている。そしてその作品は目に見える形で残る。僕の音楽は、演奏が終わると消えてしまいます。クリスティーの作品を見たときに、ループマシーン(演奏をその場で録音してリピート再生することのできる機器)を使って、音のレイヤーを作り、ウクレレを超えるアブストラクトな音楽を作りたいと思ったのです。」二人の出会いはまさに運命的だったと言えるでしょう。そしてトレイシーさんを加えスタートしたアブストラクト・コラボでは、すでに複数のプロジェクトを行い、多くの人たちにインスピレーションを与え続けています。
クリスティーさんが話してくれたキャンバスの前に一人で佇み孤独になる時間とは対極に位置するこのアブストラクト・コラボは、クリスティーさんにさらなる可能性やインスピレーションを与え、このコラボを通じた新しいプロジェクトもまた自然発生的に起こっているそうです。このアブストラクト・コラボでは、子供たちとコラボをするなど、パンデミックを通じてより重要視されるようになった子どものメンタルヘルスの為にも、アートをシェアしていきたいという思いが込められています。また、マウイ島の山火事の復興のためのチャリティーイベントとしても開催されました。「私たちが作品を作るプロセスや感じるインスピレーションをみなさんにシェアしたいと思っています。ちょっと音が大きくて、messy (散らかす、汚れる) ですけどね」と、クリスティーさん。アートの未知なる可能性を広げていくクリスティーさん、そしてアブストラクト・コラボの今後の活動にぜひ注目してください。
クリスティーさんのウェブサイト:https://kfk.art/
1日花のハイビスカスをアートで描いて永遠に!アーティスト、Ana Lucia Gardeazabal
ここ数年アップカミングアーティストの活躍がめざましいハワイ。特にパンデミックになって失業をした人たちが起業したり、自分の作品をイベントやオンラインで販売し、活動の場を広げている様子を目にするようになりました。
レジンで可憐なハイビスカスを表現するオアフ島在住のアーティスト、アナ・ルシア・ガーデアザバル(Ana Lucia Gardeazabal)さんもそんな一人で、ピンチをチャンスに変えました。
アナ・ルシアさんは、メキシコ南部オアハカ出身。ポップでカラフル、可愛らしい街並みで有名なオアハカで育ったアナ・ルシアさんは、子供の頃から絵を描くのが好きでした。高校卒業後、大学進学のために留学生としてハワイに移住したアナ・ルシアさんは、美術史と、経済学の二つの学位を取得した才女でもあります。2018年に大学卒業後、留学生のためのインターンシップ制度と経済学の専攻を生かして1年間ハワイの銀行で働きました。その後、在学中にボランティアをしていたホノルル・ミュージアム・オブ・アート(Honolulu Museum of Art)の縁で、子供たちに美術を教えるクラスの講師アシスタントを経験し、大好きなアートの職に就くことができたものの、パンデミックが起きて失職。アート制作に集中するようになりました。
パンデミックの最中、アナ・ルシアさんの愛犬ロメオを癌闘病中に失い、ロメオを思って制作したのが海と虹をテーマにした「レインボー・ブリッジ・タイド(Rainbow Bridge Tide)」というレジン(樹脂)とインクを使ったアートコレクションでした。
「今まで様々な画材道具を使って絵を描いてきたけれど、レジンは特別です。油絵は、レイヤーを何度も重ねて終わりが見えなくなってしまい、完成させられなかったけれど、レジンは画材の特性上完成させなければならない。限られた時間の中で、感情をアートに入れ込んでいくのです。液体のレジンを完全にコントロールすることはできないのですが、自由に、流れに任せるかのように作り上げていく工程も楽しいですね」とアナ・ルシアさん。愛犬ロメオの死をきっかけに、レジンの魅力にとりつかれたアナ・ルシアさん。独学で、トライ・アンド・エラーを何度も繰り返して、作品に改良を重ねていきました。そして今のスタイルが完成したのです。
パンデミックが落ち着いてきた頃には、レジン・アーティストとしてハワイで時の人となったサラ・カードル(Sarah Caudle)氏や、犬のアートで有名なシェイラ・チェン(Sheila Chen)氏のスタジオマネージャーやアシスタントとしても活動していました。現在はフルタイムアーティストとして活動するアナ・ルシアさん。自宅のスタジオで精力的に作品制作を行っています。
最新のコレクションは、「シエロ・プア(Cielo Pua)」と称したハワイの美しい空とハイビスカスをテーマにしたコレクション。「シエロ」はスペイン語で「空」、「プア」は、ハワイ語で「花」を意味し、まさにアナ・ルシアさんのバックグラウンドと今住んでいるハワイのカルチャーをミックスさせた特別なコレクションとなりました。
「ハイビスカスは、その美しい花が咲いている時間はたったの1〜2日のみ。その美しい姿を永遠にしたいという思いから、ハイビスカスのコレクションが誕生しました。また、ハワイの空は夢を見ているかのような美しい色で、ハイビスカスが風で空に飛んでいく姿を想像して作品を制作しました。このコレクションを完成させるのに1ヶ月以上かかりました。インクのオーガニックな動きとその美しい色をレジンで閉じ込めたので、一つ一つの作品がワン・オブ・カインド(唯一のもの)になっています」と熱心に語ってくれたアナ・ルシアさんでした。
将来は、故郷オアハカで咲き乱れるブーゲンビリアをテーマにしたコレクションを発表したいそう。また、学生時代には日本語の勉強もしていたこともあり、日本や海外でも活躍できるアーティストになることが夢。これからの活躍が本当に楽しみなアナ・ルシアさん。ワイキキのショップ、エレナ・ハワイ(Elena Hawaii)や、カハラモールのギャラリーショップ、マグノリア(Magnolia)などで作品を取り扱っているそうなので、ぜひチェックしてみてください!
Ana Lucia Gardeazabal
ウェブサイト: https://analuciag.com/
進化を続けるアーティスト、Kris Goto
2017年からオアフ島でフルタイムアーティストとして、ワールド・ワイド・ウォールズ(World Wide Walls、旧POW! WOW! Worldwide)、レストランなど多くの壁画や、数々の企業コラボレーション、そしてギャラリーでの個展を精力的に行い、活躍している日本人アーティスト、クリス・ゴトウ(Kris Goto)さん。2024年にリリースしたDNAシリーズの作品の一つ「TSUBAKI」は、日本をテーマにし、舞妓に憧れていたという笑顔で話すクリスさんが、細かい日本の文化の中で規則正しく生きている舞妓の姿を描いた作品です。「日本人が感じる落ち着く空気感」がコンセプトにもなっているこの作品を描いたきっかけは、数年前にハワイ大学で鑑賞した歌舞伎公演だったそう。子供の頃から海外生活が長かったクリスさんが、日本人であるという自分のアイデンティティーをないがしろにしていたと気づき、20代後半で自己肯定をしていくプロセスの中で、日本人の素晴らしさに気づいていきました。その過程で、日本ならではの色の使い方、着物の模様やデザインなど、日本人だからわかるセンスを自身のアートに反映していったのです。そんなプロセスを辿って生まれたDNAシリーズは、クリスさん自身が日本人としてのルーツと関係を再構築するための作品たちでもあるのです。
「アートは自分の一部だから、自分が変わるとアートも変わる」と赤裸々に語ってくれました。2024年4月にハレイワタウンのグリーンルーム・ハワイ(Greenroom Hawaii)で行った個展でも、サーフアートもあったものの今までとは違った作品が発表されました。共感性をテーマにしたプロジェクションシリーズの中で、作品「プロジェクション(Projection)」は、真っ黒な海に「ワシャワシャ」とクリスさんが表現するモヤモヤしたアートが描かれています。「自分が置かれている心境で景色も変わる。メンタルで感化されている部分がワシャワシャしていて、ネガティブなマインドで海に癒しを求めても、自分が変わろうと思わなければ変化は起きない」という深いメッセージが込めらえれています。この作品を描いた時はいつもと違うペンの音が聞こえ、新鮮さを覚えたというクリスさん。作品の見た目とは裏腹に、未知の世界に突入してこの作品を描いた日々は楽しい時間だったたそうで、チャレンジをしていきたいという思いの表れでした。ぱっと見何が起きているかわからないアートでも、「わかる!」と思われるもの、人と人とのフィーリングを重視する、まさに共感性をテーマにしたユニークな作品の数々が展示され、多くの人が作品を鑑賞しました。
クリスさんのスタジオには、ジャクソン・ポロック(Jackson Pollock)やアンリ・ルソー(Henri Rousseau)からインスピレーションを受けた作品もあります。2023年にリリースしたエクスペリメンタルシリーズ(Experimental Series)は、3人の巨匠アーティストのオマージュ的作品を描きました。クリスさんが巨匠のアートスタイルを試し、自分らしさを出しながら、作品を描いていく中で何を感じることができるかという探究心が詰まったユニークなシリーズです。アクション・ペインティング技法を使ってペンキを投げて作り出すジャクソン・ポロックのスタイルが嫌いだったクリスさんが、作品「ジャクソン(Jackson)」を描き終わった時には180度変わって賞賛に変わるというエピソードも。嫌いなアーティストをあえてテーマにするという感性も、クリスさんらしいユニークなアイディアです。
新しいテーマにチャレンジし、進化を続けるクリスさんの新しい作品の数々に、ファンは魅了され続けています。特に、作品の奥に込められる深いメッセージが心に刺さります。クリス・ゴトウさん、あなたはかっこいい!
ウェブサイト:https://www.krisgoto.com/
執筆:Galura 百合子 インスタグラム
本稿は、2024年に旧allhawaiiに掲載された記事を編集したものです。