アロハ・ビーチ・サービス

2022.08.30

「旅行者がハワイに来たら真っ先に何をするべきか知ってる?」そう問いかけるのは、ワイキキビーチでビーチサービスのキヨスクを長年構えるオーナーのディディ氏。彼が営む「アロハ・ビーチ・サービス」は先代が1959年にモアナ・サーフライダーのビーチ脇に構えたハワイで最も古い歴史を持つビーチサービスのひとつである。

ビーチサービスとは、ワイキキビーチでそれぞれにテリトリーを構えながら、ビーチパラソルやビーチチェア、サーフレッスンなどさまざまなビーチアクティビティのサービスを提供してくれる、言わば、世界屈指のリゾートビーチのフロントライン。がっしりとした肩に日に焼けた肌、太陽のような笑顔で接客をしながら、ときにシリアスに海の波間を見つめる彼らはビーチボーイズと呼ばれ、アロハアンバサダー、サーフィンの父と呼ばれるデューク・カハナモク氏は、ワイキキ・ビーチボーイズの創始者でもある。

「僕らが毎日ビーチでしていることは、世界中から来た旅行者が、安全に楽しくワイキキビーチでの時間を過ごしてもらえるサービスを提供すること。」ただビーチで楽しく旅行者相手に商売をしているだけのように見えるが、実は常に危険と隣り合わせな海という自然相手の場所にいることを忘れがちな旅行者に、海がどんな場所か教え、安全に楽しい経験ができるからこそ「また来たい!」とハワイの海の魅力に惹かれていることは、多くの人は気づいていないだろう。彼らには確固たる歴史やほかの誰も持ち得ない海の知識があり、隣接したライフガードと共に海の安全を守っているのである。

「ワイキキビーチのすごいところは、サーフィンができることだけじゃないんだ。ここは、世界で唯一ビーチからアウトリガーカヌーに乗って波乗りができるところなんだよ。世界中どこを探しても、アウトリガーカヌーライドがこれだけ楽しめる条件が揃っている場所はほかにないんだ。だから、ハワイに到着して天気が良ければ、まず真っ先にビーチに来て海を楽しんで欲しい。買い物だって、美味しいご飯だって、どんな天気のときでも楽しめる。でも天気がいい日にハワイの海を楽しまなかったら、ハワイの本当の素晴らしさが半減してしまうよ。」と熱く語るディディ氏の傍らには、現在三代目の後継者として修行中の2人の息子、ライアンとシェーンが佇み父の語るビーチサービス論を聞きながら深くうなずく。

「僕らは、物心つく前から両親の仕事に連れられてこのワイキキビーチで育ちました。僕らの父がそうだったように、少し手伝いができるくらいの6、7歳になると僕らはGaroot(ガルート)と呼ばれる手伝い小僧になり、ビーチのゴミ拾いやお客さんが借りたビーチチェアの掃除などビーチサービスの手伝いをはじめました。そうやって一緒に仕事をすることで先輩ビーチボーイズから旅行者へのリスペクト、また海やビーチでのルール、海について学びビーチボーイになったんです。」そう語る2人の兄弟の目に迷いはまったくなく、むしろ誇りを持って父や先輩のビーチボーイズから学んだビーチボーイという生き方を生きているように感じられる。

創業から63年、彼らのハワイの海への愛とそれを訪れた人々に伝えたいという思いは、創業当時とまったく変わらず、今もなお脈々と次世代に受け継がれている。厳しい中にも優しさに溢れていて、ハワイの本当の楽しさを知っている海の男達にぜひ会いに行ってみて欲しい。きっと忘れられないワイキキビーチでの思い出ができるはず。

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