【ハワイ島】全米初&全米で唯一!世界で0.1%の世界一稀少な「幻のカカオ」が楽しめるマニア垂涎のチョコ祭りとは?

2022.06.27

ビッグ・アイランド・チョコレート・フェスティバルが、開催!

 コロナ禍により延期の憂き目に遭いつつも、「ビッグ・アイランド・チョコレート・フェスティバル」が2022年5月11、13、14日の延べ3日間に渡って開催されました。

 コナ・カカオ・アソシエーション(KCA)が主催するこちらのフェスティバルは、ハワイ島にある6つのNPO、カカオ農家、そしてカカオに従事するすべての人々に利益をもたらす、年に1度のファンドレイジング・イベントです。初日はファームツアー、2日目はスターシェフを招いてのセミナー、そして最終日にはガラ・パーティとサイレントオークションが行われ、人数制限の要請はまだされていたものの、たくさんの人手で賑わいました。

 2010年に第1回が開催され回を重ねるたびにハワイ島の一大イベントに成長しつつあったのですが、パンデミックのためガラ・パーティは2年に渡りキャンセルされてしまいました。それでも過去9年間で15万ドル以上の利益をもたらしてきており、ハワイ島のチョコレート業界にとってはなくてはならないイベントとなっています。

 さてこちらの初日に開催されたファームツアーというのが、ハワイ諸島のみならず、全米で初めてハワイ産カカオを100%使用してチョコレートを商用生産したOriginal Hawaiian Chocolate(オリジナル・ハワイアン・チョコレート)というカカオ農園で、例年行われています。カカオ栽培から天日干し、発酵・乾燥、焙煎、粉砕、摩砕、コンチング、テンパリング、成形加工、梱包まですべてこちらで営まれており、文字通り“farm to table”(農園からテーブルへ)、“bean to bar”(カカオ豆から板チョコへ)が徹底されています。

 そもそもなぜ全米で唯一、ハワイなのでしょうか? ……その理由はカカオベルトにあります。

ハワイ島とカカオの繋がりとは?

 カカオの栽培に適した生育地帯のことをカカオベルトといい、その範囲は赤道の北緯20度から南緯20度まで広がります。ハワイの緯度は北緯22度から18度で、カカオ栽培に大変お誂え向きの場所となっています。

 さらに全世界のカカオ生産量において約0.1%しか生産できない希少性から、世界中のパティシエ・パティシエールからのみならずチョコレートファンからも、世界一レアな「幻のカカオ」と呼ばれ珍重されており、引く手数多。こちらの農園は、元々マカデミアナッツを栽培していた農園で、カカオの植樹が始められ、2000年に初めて全米初のチョコレートが製造されました。ちなみにこちらの写真はカカオの実、通称カカオポッド。このように幹に直接実がなる果実を幹生果といい、1年中数千もの花を咲かせますが、なんと結実率は1%未満だそう。

 実はハワイのカカオ産業は、1830年代のデイヴィッド・カラカウア王の統治下で始まってはいたのです。しかし結実率にも表れているように、カカオは生育環境に左右される大変センシティブな植物。その後80年は成功しませんでした。ハワイ島のカカオ産業にとって不幸だったのは、ようやく軌道に乗った栽培も第一次世界大戦の影響で貿易ルートが著しく阻害され、カカオの需要が一気に高まり価格が高騰しました。しかし戦後、交易路が再開し、カカオの価値が暴落し、農家の人々が一斉に手を引く結果となってしまいました。

 その後1980年代にハーシーズ(Hershey's)と呼ばれるアメリカ合衆国で最大手のチョコレート製造会社が、ハワイ島ヒロの小規模なカカオ農園と提携したものの、杜撰な管理と絶え間ない紛糾で、1992年に完全にストップしてしまいました。

 しかしどの歴史にもキーパーソンとなる人物が、ちょうど良い完璧なタイミングでその場所その時期に現れるのは、やはり不思議な神の采配といえるのではないでしょうか。

オリジナル・ハワイアン・チョコレート農園とそのツアーについて

 その不思議なご縁によりハワイ島を訪れ、いまのハワイ島に全米初の100%ハワイ産チョコレートをもたらしたのが、こちらのボブ・クーパー氏。ハワイ島カカオ栽培のレジェンドと呼ばれています。

 1997年にボブさんと妻・パムさんがハワイ島に移住してきて、ハーシーとの契約がまだ残る古い農園を引き継いだとき、ボブさんはチョコレートに関しての知識は一切なかったそう。ただチョコレートは大好きだったこと、そして農園の土壌調査をすると大変肥沃な土地であり、カカオの木はすでに成長を続けていることがわかり、ボブさんの“モッタイナイ”精神に俄然火がつきました。その上で国際的に著名なコンサルタントを雇い、投資価値はあるというビジネス的見地でカカオ事業に乗り出し、8年間邁進しました。なんとその間、カカオ事業に関して収入はゼロ。しかし2005年にようやくビジネスとして成り立つようになり、現在は週内の65の小売店に卸し、そこから世界中に出荷しています。どうして8年間も頑張れたのかと聞くと、ボブさんは一言、「愛は労働になり、労働は愛になるんだよ」と。さすが経験したものにしか導き出せない魂の言葉です。石の上にも3年、カカオの上にも8年。桃栗3年柿8年、からのカカオも8年、一念岩をも徹す、涓滴岩を穿つ、千里の道も一歩から、というわけです。

 こちらのツアーではボブさんと農園内を散策しながら、チョコレートを試食させてもらったり、ちょうど熟れ頃カカオ豆を目の前でカットして中身を紹介しながらチョコレートになるまでの工程などを説明してもらうことができます。

 ではさっそくツアーに出掛けてみましょう!

 今回の参加者は総勢28名。定員は25〜30人(コロナ禍で流動的)ですが、通常は2週間前にほぼ満席になってしまいます。今回はビッグ・アイランド・チョコレート・フェスティバルのイベントの一環だったので、すぐにチケットも完売しました。

 まずは農園内にある邸宅の前で、ハワイ島で作られているチョコレートの品種などについて説明を受けます。写真中央の黒いポロシャツの方が、ボブさんです。
 
 まず基本的にカカオ豆の品種は、フォラステロ種(Forastero)・クリオロ種(Criollo)・トリニタリオ種(Trinitario)という3系統に分けられます。

 大まかにその特徴をご紹介します。

フォラステロ種:世界中のカカオ生産量のうち、90%の圧倒的なシェアを占める品種。病虫害にも強く育ちやすい。苦味、酸味が強い。1年を通じて収穫される。よそ者という意味。

クリオロ種:全体における約1%の生産量で、病虫害に弱く収穫量が少ないので大変貴重。半年に1度収穫される。香り、苦味、甘みが強く、酸味はなし。意味は、自国の、またはローカル。

トリニタリオ種:フォラステロ種とクリオロ種の交配でできた品種で、生産量は全体の10%。香り、苦味、甘み、酸味ともに、すべて2種の中間の性質をもつ。カリブ海のトリニダード島(スペイン語:Trinidad)で誕生したため、この名がついた。

 その他にアリバ種(Arribaあるいは、ナシオナル種 Nacional ))というエクアドル産のフォラステロ系品種がありますが、大まかにいうと、この3つのカカオでチョコレートは作られています。

 ツアーの序盤で、こちらの農園で栽培されているフォラステロ種70%のダークチョコレート、クリオロ種70%のダークチョコレート、そしてフォラステロ種38%のミルクチョコレートの試食が提供されます。

 まずはフォラステロ種。舌に乗せた瞬間にチョコレートの甘みとアロマ、そしてカカオ本来の酸味がミルフィーユのように感じられ、コーヒーのような風味が後味に残り全体を締める、芳醇な味。一般的に流通している種ながら、やはりハワイ産のものは一味違います。

 次にクリオロ種。鼻腔に近づけただけでも、高級デパートでしか買えない手間暇かかったチョコレートの芳しい香りがします。口中に広がる複層的なカカオのフレーバーは、ポール・オースターの小説を読んでいるかのような、めくるめくアフロディジアックを覚えます。ガツンとくる砂糖の甘さではなく、じんわりと染み渡るカカオ本来の甘さが楽しめ、幻のカカオの底力を感じさせてくれます。

 フォラステロ種38%のミルクチョコレートは、意外にも懐かしい味わい。ノスタルジックな望郷の念を思い起こさせてくれる、原体験に組み込まれているチョコレートの味といえばよいでしょうか。誰しもがほっこり幸せな気持ちになる味でした。

 ツアーのなかでは写真のように、熟したカカオポッドをボブさんが自ら割って、なかのパルプに包まれたカカオ豆を取り出してみせてくれます。大体1本の樹に30から40個のカカオポッドがなり、その中には約40粒のカカオ豆が入っています。その後1週間程度木箱の中で発酵させていき、その後ハワイ島の燦々と降り注ぐ太陽の下で乾燥させます。発酵直後はボブさんに言わせると「バクテリアの働きのおかげで、汚い靴下の匂い」と笑っておられましたが、日本人から言わせると美味しい納豆の香りなのでは、と感じました。

 そのカカオ豆ですが、発酵直後は40%あった水分が、天日干しにより、7%程度まで減少します。その後120度から86度の熱を加えて、ゆっくり焙煎します。チョコレートの品質はこの焙煎の温度と時間によってキマり、その香りはなんと1000種類以上。

 その後カカオ豆を砕いてカカオニブを取り出し、すりつぶしてペースト上のカカオマスにしたら、砂糖や、カカオバター、乳製品などの材料を混ぜ合わせて、また微細化し、20μ以下にしていきます。カカオ豆からカカオニブというように、どんどん細かく粉砕していき、人間の舌が感知できない20μ以下にすることで、舌触りの良いチョコレートが誕生するのです。

 次に集大成である、コンチング(精錬)で最終形態に入り、長い時間をかけて微細化したチョコレートを練っていきます。硬い粘土状だったチョコレートを強力な攪拌機で12時間〜3日間ほど練れば、滑らかで型取りしやすい状態にまで仕上げることができるのです。そしてテンパリングと呼ばれる温度調整を3時間ほど行い、不安定なカカオバターを安定した結晶の状態にもっていきます。

 そしてようやく、充填・型抜きをして、本来私たちが食べているチョコレートの出来上がり! 気の遠くなるような工程を経て、チョコレートは錬成されているのですね。

 ツアーに参加した子供たちも次第に興味津々になっていき、最初は後ろの方にいた子供たちも、1番前の特等席で凝視しながらボブさんに矢継ぎ早に質問するなど、微笑ましい場面が見られました。 

 このようにひとつひとつ手作業で摘み、カカオ豆を発酵させ天日干し・焙煎するなど、丁寧にチョコレートを作っているカカオファーム。歴史に裏打ちされた極上の逸品をぜひ一度試してみてください。

 こちらのツアーは通常、毎週水曜、金曜の9時と11時に農園ツアーを実施しており、すぐに満席になってしまうため、思い立ったらすぐ予約が必要です。来年のビッグ・アイランド・チョコレート・フェスティバルの開催も5月上旬あたりになりそうということなので、気になる方はチェックしてみてください。ツアーの予約が満席でも「電話をいただければ、スタッフが個別対応することもできるので、ぜひお電話をください」とのことでした。どこまでも愛が溢れています。お土産にぴったりなギフトショップは火曜から金曜の10~15時まで営業中です。

Email:info@ohcf.us
住所:78-6772 Makenawai Street, Kailua Kona, Hawaii 96740
電話番号:808-322-2626 / 888-447-2626
ツアー料金:$25(13歳以上)、$10(6歳〜12歳)、5歳以下は無料

最終日のガラパーティに潜入!

 今回のガラパーティは、できる限り通常の形で行いたいという主催者の強い希望もあり、たくさんの障害がありながらも、ほぼコロナ前の体裁で行われました。

 ただポストコロナ初の開催で依然として人数規制も継続しており、集会などは野外での開催が推奨されていましたが、この祭典は野外での開催をどうしても避けねばなりませんでした。なぜならチョコレートは暑さに弱いから、という至極シンプルな理由。

 こちらの最終日のガラに設置されるチョコレートで出来た繊細な彫像は、目玉のひとつ。これを野外で展示するとなると、日中は28度以上にもなるハワイ島の気候に耐えられるわけがありません。広報のフェーン・ギャべレック氏によると、屋内のボールルームでの開催が認められた背景に、利益は大幅に減少しますが、招待客の人数・プログラムの縮小、スタッフの徹底した感染防止対策などを提出し、議論に議論を重ね、ようやくそれが叶えられたそうです。

 ガラパーティでは、チュチュ・リンジーさんのチャントで盛大に開始が告げられ、チョコレートを使ったディナーが参加者に提供されました。

 ポストコロナ禍で試行錯誤ながらも、前進し続けるハワイのイベント事情。もはやポストコロナ禍ではない、ともいえる目覚ましい日常の回復、そしてコロナという災害からの復興と共に、より進んだ新たな経済領域に入らなければならない当事者たちの奮闘が、如実に現れています。現在ハワイでは3歩進んで2歩下がる、というのではなく、3歩進んだ際に戻らず周りの状況を徹底的に把握して、抜かりなしの状態で、また3歩進んでいるようで、その決断力に頼もしく思います。

 来年の開催は、規模もプログラムも100%復活しているはずですので、ぜひ皆さまも参加してみてください!

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