コロナ史上最多フェスティバル!500人規模のビール祭がハワイ島で開催

2022.03.31

 コロナが猛威を奮い始めてから、今年で早2年強が経ちました。ここハワイでは今月26日から新型コロナウイルス感染症に関する規制が諸々解除され、一部を除き、屋内でのマスク装着義務がなくなりました。2020年4月に全米で初めてとなる、マスク着用義務化をいち早く施行したハワイ州。コロナの象徴とでもいうべきマスク装着義務の撤廃は、コロナからの脱却を示す意味で大きな意味を持つ決断であり、観光に大きくシフトした経済政策に、街行く人々の表情もとても明るくなりました。ちなみに、連邦政府のガイドラインにより、4月18日までは公立学校、空港や公共交通機関で引き続きマスク着用が必須となっています。

 そしてつい先日、コロナ始まって以来初になる500人規模のイベントがハワイ島で行われました。こちらのコナ・ブリュワーズ・フェスティバルは、通常3000人以上が集まる大規模なイベントですが、開催された3月12日はまだ集会制限があったため最大人数の500人に制限されていました。それでも参加者350人、スタッフ100人、ボランティアスタッフ50人の大所帯イベントはコロナ禍初ということもあり、開始を待ちわびる人たちで長い行列ができていました。ちなみに参加費は1人200ドルです。

 様々な規制が撤廃されるとはいえ、感染防止対策は引き続き慎重に取り組んでいくのが、ウィズコロナの真髄。こちらでも入場する際にワクチン摂取証明書の提示が必須となっており、それがあって始めてリストバンドを装着できます。下記のように、ひとりひとりスタッフが目視で参加者の証明書を確認しています。

 そしていよいよゲートオープンの16時までもうすぐというところで、ヘイアウ(古代ハワイアンの神殿)にてハワイアンの伝統継承者(カフ)であるKumu Keala Ching氏によるチャント(祈り)が始まりました。チャントはこのようなハワイのイベントの時だけでなく、神聖なヘイアウに足を踏み入れる許可を得たいときや、結婚式など、ハワイの神々に捧げる祈りと感謝の言葉として必ず行われています。

 チャントが終わると、Kumu Keala Ching氏が作った‘ĀINA ‘AILĀ‘AUというチャントにのせてフラが行われました。キラウエア火山の愛と自由を謳ったこの力強く美しいチャントと、人々を鼓舞するような彼のパワフルな歌声で、人々のボルテージが最高潮に高まったところでゲートオープン!

 こちらのイベントは、3年連続Hawaii Green Event Certificationに認定されており、ハワイで開催される環境保護活動も叶えた模範イベントとして、高い評価を受けています。そのため、このリストバンドも土に還るコンポストとして堆肥化する素材でできており、今回のイベントで出たゴミは90%がすべて堆肥となる素材で地球に還るのだそうです。

 しかも、その堆肥となるゴミはハワイ島の公立学校の各所に送られ、子供たちが援農をする際や学校の花壇などを作る際に使われるとのこと。そういったこちらのイベントにおける、すべてのSDGs関連のサステイナビリティ推進活動を担当しているのがこちらのクリスタ・ドナルドソンさん。右はコナ・ブリュワーズ・フェスティバルの広報担当サマー・キャリッグルさん。

 クリスタさんはコナ・ブリュワーズ・フェスティバルが今年で27年目を迎えるところ、実に15年にも渡ってこのイベントの環境保護活動のリーダーとして携わっているそうです。そもそもハワイでは2008年以前はリサイクルなどの回収や、資源の活用が積極的に行われていなかったため、イベントで出たゴミの再資源化が行政の支援なしで行われていたそうで、そこからもこの並々ならぬ環境に対する熱い想いが伝わってきます。

 それはこのイベントが全世界的に行われているプロジェクト・ドローダウン(Project Draw Down)というNPOにも名前を連ねている通り、”半永久的に展開していく持続可能な環境保護活動のリーダーとして、また、温室効果ガス排出の削減に向けて責任ある行動を選択する”という確固たる信念があるからです。

 こちらのイベントでは、プロジェクト・ドローダウンによる下記の方策を標榜しています。
#16「環境保全型農業」(Conservation Agriculture)
#23「農地再生」(Farmland Restoration)
#59「自転車インフラ」(Bike Infrastructure)
#60「堆肥化による解決」(Composting Solution)
#70「再生紙の活用」(Recycled Paper Solution)

 まず参加者には堆肥化できるリストバンドを始め、オリジナルグラスマグと、スプーン&フォークが一体となった木のスポーク、そして4オンス(118ml)のビールが10杯飲める、10個のトークンが入り口で配られます。

 ゴミを減らせるだけ減らし、再利用できるビアマグ、スポークを採用し、廃棄ゼロステーションと名付けられたゴミ箱を会場の各所に配置。徹底的に環境に配慮しているため、参加者の意識も自ずと高まる設計となっており、閉会するまで会場内にポイ捨てされたゴミはひとつもありませんでした。

 こちらがZero-Waste Stationsと呼ばれるゴミ箱で、会場内に3ヶ所設置されており、常時スタッフが2名おり目を光らせています。このゴミがそのまま直接子供たちの手元に届くので、堆肥にならないゴミが混入しないように、潤沢にスタッフを配置しているそうです。

 そもそもこの会場内で参加者が捨てなくてはいけないものは、会場内にある10つのレストランのタパスのお皿のみ。これもすべて堆肥になる素材でできています。これは前述したプロジェクト・ドローダウンの#60「堆肥化による解決策」(Composting Solution)に則ったもので、サステイナブル・アイランド・プロダクツというハワイの堆肥可能テーブルウェア会社の提供によるもの。

 ちなみに会場内に出展しているレストランは、ハワイ島で最も高級なホテル&レストランのひとつである『ウル・オーシャングリル・フォーシーズンズ リゾート フアラライ』(Ulu Ocean Grille + Sushi Lounge-Four Seasons Resort)や、ハワイ島のイタリアンレストラン1位に輝いた『プエオ』(Pueo’s Osteria)、3年前にハワイ島でオープンして以来瞬く間に超人気店となった『マジックビーチ・グリル』(Magic’s Beach Grill)などスペシャル感溢れるお店の数々がラインアップ。ハワイキュイジーヌの猛者達が腕によりをかけて考案したタパスが、お好きなだけいただけます。

 例えばこちら。生分解可能な再生紙でできたお皿の上にピンチョススタイルのタパスが、鎮座しています。これは『クレアナ・ラム・シャック』(Kuleana Rum Shack)が提供しており、グリルした帆立に、ニンニクとコーンのムースを添え、ハワイアンチリペッパーとパクチーを効かせたもので、会場内で1番人気の品でした。とにかく作る側から飛ぶようになくなっていき、作っているお兄さんもこの笑顔。

  そのほかにも珠玉のタパス達を、こちらズラっとスライドショーでご紹介!

 さてお待ちかねのビールは、全部で12社から13種類が登場! オレンジの看板がビール醸造会社、水色がレストランです。

◎ ブロークン・バウンダリー・ブルワリー
(Broken Boundary Brewing)
■6:00 Meeting Hoppy Lager
6.4% ABV

 こちらのIPA(アイピーエー)は、ビールの原材料のひとつであるホップをふんだんに使って醸造されるビール。正式名称は「India Pale Ale(インディア・ペールエール)」といいますが、インドとは関係がなくその起源は大航海時代まで遡ります。発祥国はイギリスといえば、その成り立ちもお気づきの方がいらっしゃるかもしれません。イギリスから植民地インドまでビールを輸送しようと、防腐作用のあるホップを大量にビールに使用したところから誕生したスタイルです。“18時集合のハッピーラガー”という名前も、ビアラバーにとってはたまらなく可愛いですよね。ちなみにABVというのは「Alcohol By Volume」の略称で、アルコール度数を示す数値です。

◎ ビック・アイランド・ブリューハウス
(Big Island Brewhaus)
■Cherry Tart Gose
4.5% ABV

 Gose(ゴーゼ)はドイツのハルツ地方のクラフトビールで、ゴスラーが発祥と云われています。 大量の塩とコリアンダーでフレーバーをつけることで、塩みが効いた酸っぱくリフレッシュな口当たり。ホップの味や苦味はないので、ビールが苦手な人にもオススメです。

◎ ハナ・コア・ブリューイング
(Hana Koa Brewing)
■Crush Helles
5.2% ABV

 ドイツ語でヘルは“淡い色”という意味で、「Hellbier(Helles Bier)」の略。ドイツはミュンヘンの伝統的なラガーであるドゥンケルと呼ばれている濃色ビール(黒ビールとは違う)と区別するために名付けられた。 麦芽のうまみと甘味が感じられ、ホップの苦味が弱いのが特徴です。

◎ オラ・ブリューイング
(Ola Brewing Co.)
■The Juicy Dragon
Dragonfruit Lychee Cider
6.2% ABV

 こちらはビールでなく、ハードセルツァーと呼ばれる大流行中の飲み物で、日本でいうサワーに当たります。セルツァー(seltzer)とは炭酸水で、ハードセルツァーはアルコール入り炭酸水を指します。ドラゴンフルーツとライチを使ったとても美しいフーシャピンク色で、映えを意識したインスタグラマーたちに大人気でした。ドイツ語の『Selterser』が語源のセルツァーは、ドイツにある村の『Selters』で発泡ミネラルウォーターの湧き出る泉が見つかったことによるそうです。

◎ ラニカイ・ブリューイング・カンパニー
(Lanikai Brewing Company)
■Kainalu Gose (Moloka’i Alaea sea salt and Kona key limes)
6.8% ABV
40 IBU

 こちらもゴーゼというスタイルのビール。IBUは「International Bitterness Units」のことで、日本では国際苦味単位と略されます。例えば、アサヒスーパードライは、IBU16、キリンラガーはIBU25なので、こちらはかなりα酸の含有量の高いホップを大量に使った、大変華やかな苦味の強いビールといえます。

◎ ホノルル・ビア・ワークス
(Honolulu Beerworks)
■Hop Island IPA
7.0% ABV

 International Beer Cupで2年続けて銀賞受賞した、ボールドなビール。こちらは80IBUというIBUの高さで、ホップ好きにはたまらない逸品です。アルコール度数も高いので、ゴクゴクというよりは、じっくり味わって飲むのに適したビールです。

◎ マウイ・ブリューイング
(Maui Brewing Co.)
■Karoshi Dry Rice Lager
4.0% ABV

 このKaroshi、なんと日本語の過労死から名付けられているんだそう。『死ぬほど最高のライスラガービールだから、働き過ぎず、サクッとクリスプに飲んでくれ!』という願いが込められているとのことですが、このネーミングセンス……脱帽です。

◎ コホラー・ブリューワリー
(Kohola Brewery)
■"Billy Dee" Malt Liquor
6.2% ABV
13 IBU

 ハワイ・クラフトビール・アワードにおいて金賞をはじめ様々な受賞歴をもつビールを作る実力派の醸造所。マウイ島で作られており、ビリー・ディー・モルト・リカーはIBUが13。ほとんど苦味がなく、軽やかで爽快感が強く、喉越しを楽しめる作品です。

◎ ワイキキ・ブリューイング・カンパニー
(Waikiki Brewing Company)
■Jalapeño Ass w/ Ghost Chilis
5.4% ABV
30 IBU

 こちらはピリッとスパイシーな刺激が玄人好みな一品。青唐辛子と赤唐辛子という深みの違うチリを絶妙にブレンドした、風味を楽しむビールです。このゴースト・チリはカウアイ島のKauai Kunana Dairyという農場で作られている唐辛子で、地産地消のビール醸造はハワイでもポピュラーなスタイルです。

◎ ヒロ・ブリューイング
(Hilo Brewing Co.)
■Kanaloa Imperial IPA
9.0% ABV

 会場内における最高アルコール度数の、ハワイ島のストロングゼロとでも呼べるハードなビールです。こちらはかなり攻めたビールを醸造することで有名な、ハワイ島はヒロにあるブリューワーさん。質の高さと小ロットで有名なHang’em High Hopsという、日本では未入荷のミシガン州にあるホップ農家とコラボして作られています。あまりにも美味しくて、3回お代わりをしてしまいました。ちなみになぜかこちらのブリュワーさんだけ看板が出ていませんでした。

◎ イヌ・アイランド・エールス
(Inu Island Ales)
■Guava Belly Island Sour Ale
6.5% ABV

 そのヒロ・ブリューウィング・カンパニーの隣にあるのが、こちらのグアバサワー。ハワイアンスタイルのビタミンCたっぷりなサワーエールです。6.5%という十分に高いアルコール度数ですが、ストロングゼロの隣にあると、ついつい飲み過ぎてしまう小悪魔的なサワーでした。

◎ コナ・ブリューイング・カンパニー
(Kona Brewing Company)
■Purple Grain
6.8% ABV

■Mai Time Island Wheat
4.9% ABV

 そして最後は我らがハワイ島のお膝元、コナ・ブリューウィング・カンパニーのご紹介です。 やはり勝手知ったる地元企業ということで、ライブパフォーマンスエリアの一番奥である上座に鎮座し、2種のビールを提供していました。

 Purple Grainは、なんとフレンチラベンダーを加えたヒーリング効果もありながら、チャイティのアロマ漂う深い薫香も感じられ、クリエイティブなビールとして人気の高さを見せつけていました。

 Mai Time Island Wheatは、オレンジとパイナップル、そしてライムを効かせた、その名の通りマイタイというカクテルにインスピレーションを受けたビール。フードペアリングとしては、フィッシュタコスとココナッツライスが合うよ、とオススメしていただきました。

 ということで、私もまず記念すべき一杯めは、ハワイ島のストロングゼロであるKanaloa Imperial IPAであるセレクト。想像したよりフワッと優しいアロマとホップにすっかり夢見心地です。2年ぶりの大型野外イベントに、「ようやくね!」「2年越しで、このイベントが復活して本当に嬉しい!」という声が、あちこちで聞かれました。

 会場では、イベントTシャツが売られていたのですが、ここでもやはりゼロ廃棄の精神が生かされており、2年前の新古品であるTシャツが在庫一斉処分として半額の10ドルで売られていました。

 そのほかにもイベント時には助かる手洗い場所が会場に2ヶ所設置されており、ちょっと手を洗いたいときや、ビールを替える際のマグやスポークを洗える場所になっていました。こちらも水を濾過した水の再使用により、環境に配慮された仕様になっています。

 その手洗い場所で間違えて水を飲む人がいないように、必ずその隣にはウォーター・モンスター・ステーションと名づけられたウォーターサーバーが設置されており、つくづくイベントの動線の見事さに感嘆せずにはいられませんでした。

 9つのノズルからは、冷たくて甘露とでもいうべき水がいつでも飲めます。

 彼はローリー・スコットさん。50人のボランティアを束ねるリーダーで、このイベントには何年にも渡って参加しており、正確な年数は分からないほど毎年このイベントのために奔走されているんだそう。

 『ホヌ・オン・ザ・ビーチ』(Honu’s on the Beach)というレストランからは、アヒポケ(漬けマグロ)にオゴ(海藻)、ガリががのったミニタコスが登場。先ほどのコナ・ブリューイング・カンパニーのオススメに従い、Mai Time Island Wheatをチョイスしてみました。

 アルコールを飲んでいると、少しどっしりしたものが欲しいと胃が欲することってありませんか? そんな際に、ピッタリだったのが『マジック・ビーチグリル』(Magic’s Beach Grill)のカルアポークのポテトサラダ。甘辛の肉と、日本人好みのポテトサラダが絶妙すぎて、何度でもお代わりしたくなってしまいます。食の重鎮“ポテトサラダ学会”会長のマッキー牧元氏の名言である「ポテトサラダはお酒の恋人」を彷彿とさせる逸品でした。

 そうこうしているとライブが始まり、人々も熱気のこもったグルーヴ感でそこかしこで踊り始めました。何度も申し上げてしまいますが、ここ2年で初めての光景です。我々は、ウィズコロナの中でポストコロナに舵をきっているのだと心底感じられた瞬間でした。

 デービッド・イゲ州知事も語っていますが、パンデミックを共に経験した我々は強く、しかしこれが終わりだと気を緩めるわけでもない。いつなんどきまた同じようなことが起こったとしても、我々は今回の経験を糧にできる経験と知識を身につけることができ、一丸となって克服することができる。一斉撤去された公共施設にあるサーモグラフィーによる検温装置は、破棄されるのではなく、またこのような事態が起こったときにすぐに州内に放出できるように、倉庫に保管されるそうです。

 このように確実に、着実に安全かつ環境に配慮した観光政策が始まったハワイ。

 今年のゴールデンウィークには、日本人のお客様が回復傾向にあるという嬉しいニュースも飛び込んできました。ハワイ州では、このコロナ禍で観光スタイルも持続可能な観光渡航になるよう「Mālama Hawai'i(マラマハワイ)」(「マラマ」はハワイ語で「思いやりの心」)に方針がアップデートされました。大量消費、大量生産の観光渡航の時代は終わり、また皆様をお迎えするときには様々な変化が感じられるはずです。ぜひそのときは、マラマハワイを合言葉に新しく生まれ変わったハワイを楽しんでください!

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