レイに魅せられたハワイ在住アーティスト、Judd Boloker

2018.09.09

ハワイの病院で未熟児を担当する医師というシリアスな職業の傍ら、 レイの美しさに魅せられ他にはない独特なスタイルでアートをクリエイトし続けるジャッド・ボロカー(Judd Boloker)氏。セレクトショップのLa Museで数年前に見かけて以来、以前から気になっていたレイのアートはとにかく印象的だった。独自のネットワークで仕事をしている私のところに最近Boloker氏の名前を聞くことが多くなり、ついに多忙に過ごす本人と接触するチャンスを得た。そんなボロカー氏のアートへの思いと「美しい」という言葉がピタリとはまる作品を紹介したい。

ニューヨーク出身のボロカー氏は10歳の頃から絵を習い、ニューヨーク時代には有名なファッションスクール、Fashion Institute of Technology (通称FIT)でイラストレーションのコースを受講したこともあるほど絵にのめり込んでいた。高校を卒業してから10年後、病院の仕事が忙しくストレスを感じる生活を送る中で、アートをまたやりたいと思ったボロカー氏は、ニューヨークの狭いアパートで再び色鉛筆を持ち、花の写真やサボテンなどを描き始める。その後2010年にハワイ移住を決め、ハワイにちなんだアートをクリエイトしたいという思いから、チャイナタウンの生花店で売られていたレイにインスピレーションを受け、アートのテーマにすることを決意。

ボロカー氏は、独自のルートで仕入れてくる色とりどりのレイの写真を様々な角度で自ら撮影し、そこからまずは鉛筆でドローイング。ベースカラーを色鉛筆でつけていく。そしてトップレイヤーをつけて色を仕上げた後、アートをスキャンしてデジタルで完成させていくという独特のスタイル。6年前にこのスタイルをスタートし、医師の仕事の傍ら現在50以上の作品を完成させてきたそうだ。始めはオーキッドレイなどシンプルなものから始め、ここ最近はハクレイなどより複雑なレイを題材にしている。一つの作品を仕上げるのに約2ヶ月ほどかかるという。

2011年にホノルル美術館で開催されたアーティスト・オブ・ハワイ2011で作品が展示され好評を得て、現在はノヘアギャラリー(Nohea Gallery)やシンプリー・ウッド・スタジオ(Simply Wood Studios)などで取り扱われるように。また、ハレイワアートフェスティバルやメイドインハワイフェスティバルなどのイベントにも積極的に参加し、ファンとの触れ合いも大切にしている。

生死に関わる未熟児を受け持つ医師であり、忙しい日々を送るボロカー氏にとってアートは癒しであり、とても嬉しそうに微笑みながら自身の作品について語ってくれた姿は印象的だった。日本の浮世絵などにも大変興味があり、ボロカー氏の作風にはどこか東洋的な影響を受けている。ボロカー氏のおじいさんが国連のアート部門で働いていたそうで、彼の国際的なアート感覚とクリエイティブ思考はどうやらおじいさん譲りのようだ。カラフルな色彩の中に細かいディティールとボロカー氏のセンスが絶妙にミックスされた美しいアートたち。将来は、日本人のレイメーカーと日本の花を使ったレイをアートにしたり、レイ以外にも海洋動物のアートを描くことにも興味があるそうだ。多忙な中、夢をあきらめずアーティストとして活躍している姿は、穏やかな彼の性格とは裏腹に勇ましくかっこよかった。ボロカー氏の今後の活動や新しい作品も楽しみにしたい。

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