ABOUT HAWAI‘I
DMAPについて
デスティネーション・マネジメント・アクションプラン
ハワイ・ツーリズム・オーソリティ(HTA)は2020年、各郡および各島の観光局と連携して、カウアイ島、マウイヌイ (マウイ島、モロカイ島、ラナイ島)、オアフ島、ハワイ島の観光地管理行動計画としてデスティネーション・マネジメント・アクションプラン (DMAP) を策定し公開しました。DMAPは、パンデミックからの回復、そして各島が望む観光産業の再建、再定義、方向性の再設定を目指します。
2021年9月から2024年8月までの3年間における主要な活動計画は、HTAの「ハワイ観光戦略プラン2020-2025」 にある4つの柱に沿った行動計画と達成目標(KPI)が定められています。観光地管理には、責任ある旅行者を誘致して啓発すること、混雑する場所や過負荷のインフラ、その他の観光関連の問題に対する実行可能な解決策を提唱すること、ハワイの住民と旅行者の両方が価値を認める自然と文化の資産を改善するために他の責任ある機関と協力することが含まれます。
目的
- ・協力的なプロセスを通じて、3年間にわたって観光の方向性を再構築、再定義、再設定する
- ・ハワイの観光産業、地域社会、他業種、政府機関と協力と関与
- ・地域環境負荷を軽減するために管理が必要な領域を特定
背景
2019年、ハワイへの渡航者数は1038万人に達し、過去最高を記録しました。その結果、177億5000万ドルの経済効果をもたらし、20億7000万ドルの税収入、21万6000人の雇用を支え、観光業はハワイ州国内総生産(GDP)の16.2%を占め、観光産業は「不動産およびレンタル・リース」の18.8%に次ぐ2番目となる重要な産業となっています。一方で、旅行者数が増えれば増えるほど、観光業に対する住民の意識が低下する結果が住民意識調査で明らかになっています。オーバーツーリズムの影響はハワイに限ったことではなく、イタリアのベニス、ペルーのマチュピチュ、日本の京都など、他の人気観光地でも観光による悪影響が指摘されています。それは住民の生活の質だけでなく、旅行者の旅行体験の質にも影響を与えます。
カウアイ島のDMAP
海洋環境保全のためのビーチクリーンアップへの参加、ウミガメやハワイモンクアザラシの保護活動、珊瑚に配慮した日焼け止めの使用を促すほか、海洋環境に配慮したレストランを応援しています。地元の農家やアーティストのビジネスもサポートしており農業体験ツアーなどを積極的に紹介しています。

カウアイ島のDMAPの目標
- ・カウアイ島民の生活の質への積極的な貢献を実現
- ・カウアイ島の自然資源の維持、強化、保護を支援
- ・住民と訪問者のための体験、資料、マーケティング活動において、
ハワイ文化を正確に表現 - ・カウアイ島での体験に対する訪問者の満足度を維持・向上
- ・カウアイ島の観光産業の経済的貢献度を強化
- ・住民と観光産業のコミュニケーションと理解を深める
カウアイ島の主な活動計画
- ・カウアイ島の自然資源を保護する法律の管理と施行を改善
- ・訪問者数の管理
- ・観光客や住民への情報提供(条例や規則、適切な行動など)
- ・交通問題やインフラ整備
- ・双方向のコミュニケーションと産業界との連携
- ・地元企業のサポート
カウアイ島の取り組み
- ・カウアイ島で利用できる移動手段の情報を集約したウェブサイト「Get Around Kauai」を開設
- ・ハエナ州立公園:オンライン事前予約制度を導入
- ・キラウエアポイント国立野生生物保護区:オンライン事前予約制度を導入
- ・ダニエル・K・イノウエ・キラウエアポイント灯台:オンライン事前予約制度を導入
- ・サーフライダー・ファウンデーション:ビーチクリーンアップ・プログラムを実施
- ・フレンズ・オブ・カマラニとレッジゲイト・ビーチ・パーク:毎週土曜日に実施されるビーチクリーンアップを実施
- ・カウアイ・ヒューマン・ソサエティ:保護犬と1日を過ごすフィールドトリッププログラムを実施
- ・ナショナル・トロピカル・ボタニカル・ガーデン:travel2changeが苗床を育てるプログラムを実施
オアフ島のDMAP
環境負荷と利用者の安全のためにダイヤモンドヘッド記念碑公園とハナウマ湾自然保護区の入場規制を強化しオンラインによる事前予約システムを導入しています。また交通渋滞緩和のために代替交通手段の検討や、交通量の少ない時間帯に移動することを奨励しており、二酸化炭素排出量の削減も目指しています。ビーチではサンゴに配慮した日焼け止めの使用し、使い捨てプラスチックの利用を控える努力を行っています。

オアフ島のDMAPの目標
- ・オアフ島民の生活の質の向上へ積極的に貢献
- ・オアフ島の自然資源の維持、強化、保護を支援
- ・住民と訪問者のための体験、資料、マーケティング活動において、
ハワイ文化を正確に表現 オアフ島での体験に対する訪問者の満足度を維持・向上 - ・持続可能な観光産業と経済的貢献を強化
- ・住民と観光産業のコミュニケーションと理解を深める
オアフ島の主な活動計画
- ・違法な宿泊施設を管理し、新施設の開発を規制
- ・観光産業関係者にハワイの文化教育を支援
- ・旅行者の安全のための情報発信強化
- ・過密状態の人気観光地の管理強化、予約システムの導入
- ・再生型観光のプログラム開発・実施
- ・地元産品のプロモーション強化
- ・交通インフラの整備
オアフ島の取り組み
- ・ハナウマ湾自然保護区:オンライン事前予約制度を導入
- ・ダイヤモンドヘッド記念碑公園:オンライン事前予約制度を導入
- ・マウナルア湾:外来種除去やサンゴの再生など、湾の活性化にむけた取り組みを実施
- ・ココヘッド地区公園:湾内へ流出する水質の悪影響を軽減する整備を実施
- ・クアロア・ランチ・ハワイ:タロイモ畑で、ハワイの人々の食文化、歴史について学ぶツアーを催行
- ・ガンストック・ランチ:自生する広葉樹の森林再生と植林活動を催行
マウイ・ヌイのDMAP
観光客が訪れる前後に島でどのように観光管理するのが最善か、また、観光客が訪れた際はどのように互いに思いやりの心(マラマ)をもって接するかについて、コミュニティから意見を集めDMAPを策定しました。

マウイ・ヌイのDMAPの目標
- ・マウイ・ヌイの経済的な回復を観光で牽引する
- ・住民の生活の質と旅行者の体験の質の向上
- ・持続可能な地域社会経済の実現
- ・マウイ・ヌイの自然資源の維持、強化、保護を支援
- ・住民と訪問者のための体験、資料、マーケティング活動において、
ハワイ文化を正確に表現 - ・マウイ・ヌイでの体験に対する訪問者の満足度を維持・向上
- ・マウイ・ヌイの観光産業の経済的貢献度を強化
- ・住民と観光産業のコミュニケーションと理解を深める
マウイ・ヌイの主な活動計画
- ・違法な宿泊施設の取り締まり強化
- ・生態系と生物多様性を守るためのプログラムを開発
- ・観光客への情報提供(条例や規則、適切な行動など)
- ・文化的な教育、トレーニングプログラムの開発と提供
- ・双方向のコミュニケーションと産業界との連携
- ・再生型観光の取り組みを強化
- ・交通問題やインフラ整備
マウイ・ヌイの取り組み
- ・ワイアナパナパ州立公園:オンライン事前予約制度を導入
- ・ハイキング、星空観察、ハレアカラ国立公園:サンライズ・アット・ハレアカラは予約必要
- ・新条例:10月1日からマウイ郡で使用できる日焼け止めはミネラルオンリーの日焼け止めのみ
- ・パシフィック・ホエール・ファンデーション:マリン・デブリス・モニタリング・プログラム(海洋ごみ調査)を実施
- ・マウイ・カルチュラル・ランド:森林再生プロジェクトを実施
- ・マウイ・ソーイング・フイ & ラハイナ・リストレーション・ファウンデーション:歴史文化の継承
※マウイ・ヌイは、マウイ島、ラナイ島、モロカイ島、カホオラヴェ島、ハワイ州マウイ郡の4島を指しますが、DMAPではマウイ島、ラナイ島、モロカイ島の3島について述べています。
ハワイ島のDMAP
95%の乾燥熱帯林が失われたとされるハワイ島では積極的な植樹活動と外来種除去プログラム、ホットスポットと呼ばれる人が過密する人気観光地の適切な運営と管理を進め、スチュワードシップ計画を進めています。

ハワイ島のDMAPの目標
- ・ハワイ島民の生活の質の向上へ積極的に貢献
- ・ハワイ島の自然資源の維持、強化、保護を支援
- ・住民と訪問者のための体験、資料、マーケティング活動において、
ハワイ文化を正確に表現 - ・ハワイ島での体験に対する訪問者の満足度を維持・向上
- ・ハワイ島の観光産業の経済的貢献度を強化
- ・住民と観光産業のコミュニケーションと理解を深める
ハワイ島の主な活動計画
- ・地域主導で地域密着型の教育や行動を管理
- ・ハワイ文化や言語を継承するための資源と教育プログラムを開発
- ・地域主導の意思決定と地域密着型観光への関与の機会創出
- ・政府、観光産業、コミュニティ間の双方向のコミュニケーション
- ・住民と観光客双方が実践するポノの重要性
- ・自転車専用道路拡張などインフラ改善
- ・バケーションレンタル規制を改善
- アグリツーリズムを推進
- ハワイ島の自然・文化資源の管理と保護
- 住民の生活の質の向上
ハワイ島の取り組み
-
・自然再生:積極的な森林再生・植樹活動と外来種除去活動を実施
- – フィッシュポンド
- – キラウエア火山のあるハワイ火山国立公園
- – 州立公園
-
・ホットスポット:コミュニティ主導による適切な運営管理ができるよう支援
- – ワイピオ渓谷へ続くワイピバレーロードの閉鎖
- – ポロル・トレイル・スチュワード・プログラム
(複数の地元の「スチュワード」が常駐し、トレイルとビーチを監視しながら、訪れる人々の安全のために情報を提供する取り組み)
- ・ポノ・プレッジ:住民と観光客の双方が「ポノ(正しい行為)」を実践