まるで異国のよう!かつてのワイキキで見られた動物たち

2024.04.20

世界各地から観光客の方々が集まり、いつも賑やかなワイキキ。ビルが立ち並び、道も整備され、現代的な街並みとなっていますが、歩いている人々の奥には、様々な動物たちが暮らしています。
現在のワイキキで多く見られるのは、鳥。池の近くでは、鴨、鳩、マイナバード、カーディナル、文鳥、インコ、鶏も親子で歩き回っています。ロイヤル・ハワイアン・センターの屋外ステージあたりでは、メジロの姿も。

九官鳥の仲間、マイナバード。車が近づいても飛んで逃げず、歩いて逃げるため、ドライバーの方がハラハラ。 写真提供:Hawaii Historic Tour LLC

さて、人々や鳥たちで賑わうワイキキですが、観光地となる前のワイキキでは、さらに様々な動物たちが暮らし、人々の生活を助ける大切な存在でした。一体、どんな動物たちがいたのでしょうか?

人々の移動に大きく役立った、ミュール

車がない時代、ハワイで人々の移動に使われていたのが、馬とロバを掛け合わせた「ミュール」という動物。このミュールが引くワゴンが登場し、人々を運びました。例えば1800年代の中頃、ホノルル港に到着した人々が、ワイキキに行こうと思ったら、ミュールが引くワゴンに乗って2時間の道のりでした(現在は車で10分程)。

現在のカラカウア通りを行き来していた、ミュールが引くワゴン(写真左)。 写真:Hawaii State Archives

1900年代に入る頃に路面電車が走り出すまで、ミュールが引くワゴンは使われていました。

カピオラニ公園で放し飼いされていた、大型の鳥

カピオラニ公園では、大型の鳥がなんと放し飼いにされていました。それは、オーストラリアから輸入されたダチョウです。

ダイヤモンドヘッドの北側の町、カイムキまで脱走することもあったそう。 写真:Hawaii State Archives

1890年代に、ベンチャー事業の一つとしてダチョウファームが造られ、30羽のダチョウが飼われていました。羽を帽子の飾りにしたり、卵の殻をオーナメントに使ったりするために飼われていたそうです。

農村だったワイキキで大活躍していたのは…

ワイキキが観光地として開発されていったのは、1920年代中頃。それ以前のワイキキには、広大なタロイモや稲の水田が広がっていました。人の手だけで水田を耕すのは、到底、無理な広さです。

ダイヤモンドヘッドをのぞむ場所で行われていた、米栽培。 写真:Hawaii State Archives

そこで人に代わって水田を耕してくれていたのが、水牛です。

異国情緒ただよう、かつてのワイキキの風景。 写真:Hawaii State Atchives

1890年に中国から渡って来た水牛は、ワイキキでも大活躍。まるでアジアの国にいるような風景がワイキキに広がっていたのですね。
後にハワイでは、水牛には厳しい輸入制限がかけられ、主に研究目的でしか輸入が許可されないことになりましたが、2019年以降、農作業で使用する目的での輸入が許可されるようになり、現在、カウアイ島の農家が水牛の力を利用して作業しているそうです。1頭で10人分の働きを見せてくれるという水牛による農作業が、これからハワイ各地で再び見られるようになるかも⁉

美しい羽を広げながら、庭を優雅に闊歩

現在はホテル「シェラトン・プリンセスカイウラニ」となっている場所にかつてあったのは、カラカウア王の姪にあたるカイウラニ王女一家が住んだ住居と、スコットランド人の父、クレッグホーン氏がデザインした見事な庭園でした。その庭園に数多く放し飼いにされていたという鳥、それは…クジャクです。

自宅の前に立ち、クジャクに餌をあげているような姿のカイウラニ王女。 写真:Hawaii State Archives

カイウラニ王女は、長くイギリスにて教育を受けていましたが、ハワイ王国が一部のアメリカ人によって転覆させられたことを機に、ハワイに帰国します。しかし、帰国して早々に熱病にかかり、このワイキキの地で療養しましたが、23歳という若さでこの世を去ってしまいます。ワイキキの家で過ごした王女の姿が写真に収められていますが、その足元には、しっかりクジャクの姿も写っています。

現在、クジャクがホノルル動物園内で放し飼いにされていて、時々、羽を大きく広げて優雅に歩いているところを、目の前で見るという体験もできます。

迫力満点!クジャクの方から近づいてくることも。 写真提供:Hawaii Historic Tour LLC

ミュールや水牛、ダチョウのように、現在のワイキキでは見られなくなってしまった動物もいれば、クジャクのように、昔のワイキキを思い起こさせてくれる動物もいます。ワイキキ散策をしながら、ワイキキに住む動物たちを、ぜひ見つけてみてください。

たくさんの動物がいたカピオラニ公園の歴史はこちら

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