第2回ハワイ・ツーリズム・フォーラム 事後レポート

2021.04.28

2021年4月21日開催:SDGsテーマ

第2回「ハワイ・ツーリズム・フォーラム」は、アースデーを前日に控え、2021年4月21日(水)(日本時間)に、SDGsをテーマにオンラインで開催しました。

国連の持続可能な開発のための17の国際目標「SDGs」達成に向けた観光産業の役割、世界の潮流、ニーズの変化といった世界の流れから、ハワイ州が目標を掲げるハワイ版SDGs「アロハプラスチャレンジ」やハワイの取り組みについて紹介しました。そして、パネルディスカッションにおいて、コロナ禍の今、SDGsに貢献する旅行商品の開発に取り組むためのヒントを探求しました。

プログラム内容

開催日時:
<日本時間> 2021年4月21日(水)9:00-11:15
<ハワイ時間>2021年4月20日(火)14:00-16:15
開催場所:オンライン(YouTube)
テーマ:SDGs

第2回のフォーラムのアーカイブ動画はこちら

基調講演:観光とSDGs

基調講演では、やまとごころ代表 村山慶輔氏をスピーカーとしてお迎えし、観光とSDGsについて、SDGs達成のために観光業界の取り組みがいかに重要であるかについて講演いただきました。

やまとごころ代表 村山慶輔氏の基調講演内容の一部抜粋

村山氏は、新型コロナウイルス感染症の影響によって、観光業は今後どうなるのかについて、本講演にて言及しました。その中で、重要なのは、「観光はいずれ戻る」ものの、「観光は元の形に戻るのではなく、形を変えて戻る」と捉えていることでした。

具体的には、「観光客のニースの変化」として、「三密を避ける」「混雑を避ける」「サステイナブルな意識した旅行スタイル」といった変化、「観光地、地域社会の変化」として、少人数、地域を尊重する方を受け入れたいといった、旅行者、受け入れ側のニーズの変化が起きているということです。今後の観光を健全に再生していくためのカギとしては、「サステイナブル」。

本講演では、「世界の潮流」、「観光客のニーズの変化」、「持続可能な地域の観光戦略とは」の3つにおいて、世界、日本の動きに軸をおき、それがどうハワイに適応していくのかといった観点でお話いただきました。

ハワイ州観光局からのプレゼンテーション

ハワイ州観光局日本支局長 ミツエ・ヴァーレイより、ハワイでのSDGsの取り組みとして、ハワイ版SDGs「アロハプラスチャレンジ」が2014年7月、国連がSDGsを掲げる前から目標を設定していたというロードマップをはじめ、現在どこまで取り組んでいるのかという達成状況などを紹介しました。
そして、アロハプラスチャレンジでは、6つの目標を掲げ取り組む中、ハワイNPO団体が取り組む内容を、事例として目標毎に説明させていただきました。

そして、ハワイ州観光局が取り組む「マラマハワイ」のコンセプト、翌日開設した、ハワイ州レスポンシブルツーリズム情報サイトを、初公開しました。同サイト内には、ハワイ関連企業が取り組むSDGsをはじめ、NPO団体の紹介などの情報を網羅しています。

まとめ
・ハワイ版SDGsは、シンプルかつ適用性が高い
・各島の事例をベースに体験型のプロダクト開発が可能
・マラマハワイの取り組みが今後のレスポンシブルツーリズムのよい事例となる
・今後のハワイ旅行×教育の将来性

パネルディスカッション:SDGs達成に貢献する各社の取り組み

パネルディスカッションでは、ハワイ州観光局営業部長寺本竜太がモデレーターを務め、資生堂、デルタ航空、マガジンハウス「Hanako」の登壇者の皆様に、各社のSDGs達成に向けた戦略、取り組みについてお話いただきました。そして、村山氏にもご登壇いただき、各社の取り組みを事例にSDGs達成に向け、観光業界でどう取り組みべきかについて探求しました。

Hanako編集長田島氏

Hanako編集長田島氏は、1980年代、2021年の読者層の興味関心、トレンドの変移をもとに、1989年と2019年のハワイ特集の内容の違いを紹介しました。その中で、読者がオーガニック、SDGsに興味関心が高いことから、昨年からSDGs特集を始められたとのこと。
そして、読者と向き合うために、読者目線に合わせ、「気持ちい生活の選びかた」と、SDGsを押し付けではない、コミュニケーションを図られ、その結果、ツイッターなどSNS上で、読者の反響も高かったといった、SDGsの伝え方についてお話いただきました。

資生堂 大山氏

続いて、資生堂 大山氏は、資生堂が取り組む、Sustainable Beauty Actionsについて紹介いただきました。ブランドの象徴アイテムである日焼け止め商品について、2021年1月1日(金)からハワイ州が、海洋環境保護のため、オキシベンゾンとオクチノキセートなどの化学物質が含まれている日焼け止めの販売を禁じる法律施行にあたって、条例にあった商品開発について紹介いただきました。また、同社が取り組む「Shiseido Blue Project」について、五十嵐カノア選手をアンバサダーに起用していること、 ビーチクリーン活動などについて映像と共にお話いただきました。

デルタ航空日本地区 社長 大隅ヴィクター氏

デルタ航空日本地区社長、大隅ヴィクター氏は、「ゼロ・インパクト・アビエーション」を目指す取り組みとして、デルタ航空がカーボンニュートラルを達成するための短期および中長期的な計画をご紹介いただきました。短期的な取り組みの例として、2020年に200機もの航空機を退役させ、代わりに最新機材を導入することによって25%も燃料効率を上げたことを挙げられました。また、機内で配布するアメニティキットを包むビニール袋や、ストローなどのプラスティック製品の使用を廃止したこと、制服をリニューアルした際に、古い制服や試作品をアップサイクルしたことなど、これまでの取り組みについて具体的にご紹介いただきました。

まとめ

やまとごころ代表 村山慶輔氏から、3社様の取り組みをもとに視聴される皆様にむけて、アドバイスをいただきました。

村山氏は、「SDGsは1つの選択肢であり、選択肢を広げる概念です。ハワイには、自然、ビーチ、食、買い物、教育と様々な素材があり、SDGs×自然、SDGs×ビーチといった掛け算が必要です」と述べ、そのためには、「旅行会社をはじめ事業者の皆様は、SDGsの取り組みを実行してください。」と考える余地なく、実行するべきことを言及されました。

「SDGsの取り組みは、自社のみで行うのではなく、連携しながら実行していくことが大切であること」を視聴者になげかけ、「将来のお客様を考えた際、SDGsの意識高い人が増加してくれることが予想されるので、事業を持続可能にしていくには、取り組むしか選択肢はない」と強調されました。
つまり、会社の理念、姿勢として、SDGsを組み込むということがポイントなのです。

また、そのSDGsの伝え方として、Hanako読者にSDGsが刺さっているように、「気持ちいのいい生活の選びかた」といった、SDGsについて、自身がどう判断していくのか、押し付けではなく、投げかけ、問いかけといった発信が必要であることを言及され、「日常生活において、エシカル消費に関心を高め、できることを継続的に行動を取るべきことが重要である」とお話いただき、本フォーラムをしめくくりました。

第2回パネルディスカッション登壇者プロフィール (五十音順)

(株)資生堂 SHISEIDO グローバルブランドユニット
グローバルマーケティング部
エクステンションプラットフォーム カテゴリー室長
大山 志保里氏

2017年に資生堂に入社。東京とニューヨークを拠点に、
15年間美容マーケティング・商品開発に従事。大学では環境情報学を専攻し、現在は88か国で展開するグローバルブランドSHISEIDOでサステナビリティの戦略立案から実行までを担当。
2020年には資生堂で初となるグローバルサステナビリティプロジェクトSustainable Beauty Actions (SBAS)を始動


デルタ航空 日本地区 社長 大隅ヴィクター氏

2019年に7月にデルタ航空の日本地区社長に就任。日本人のお客様に最高の顧客エクスペリエンスを提供するグローバル・エアラインとして、デルタ航空のブランド構築に取り組んでいる。

フロリダ工科大学航空経営学部操縦科で理学士号を取得し、卒業後にアメリカ空軍に入隊。その後、ハイアット ホテル アンド リゾーツ、インターコンチネンタルホテルズグループ、マリオット・インターナショナル、プリンスホテルなどの大手グローバルホテルにて要職を歴任。デルタ航空入社前には、マリオット・インターナショナルの日本・グアム担当エリアバイスプレジデントとして、同ホテルグループの43軒のホテルの運営と、30軒以上の新ホテルの開業準備を統括するなど、国内外のホスピタリティ業界の重鎮として幅広い経験を有している。


Hanako 編集長 田島 朗氏

1974年生まれ。1997年マガジンハウス入社、翌98年『BRUTUS』編集部に配属、2010年同誌副編集長に。2016年10月発売号より『Hanako』編集長に就任、リニューアルに着手。2018年には本誌月刊化&全国配本を推進、多メディア化を図ることで現在につながるHanakoのブランド展開を確立する。

1988年に働く女性のバイブルとして創刊、雑誌名が流行語大賞を受賞するほどの社会現象に。よく働き、よく遊び、よく学ぶ女性の知的好奇心を満たすメディアとして、食・街・旅、さらにSDGsや防災といったテーマを扱い、進化を続けている。雑誌だけに留まらず、ウェブサイトHanako.tokyo、繁体字中国語メディアHanako.Taiwan、インスタ上の雑誌Weekly InstaMag、読者組織ハナコラボ、学びのプログラム・ハナコカレッジなどを展開中。アイスバーが大ヒット中の商品開発プロジェクトも話題に。

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