20年前からモザイクを独学で勉強し、サーフボードや壁面の上に細かくカットしたタイルを貼り付けて、アートに仕上げていくというユニークなアーティスト、ターニャ・ティアレ・ブラウン(Tanja Tiare Browne)さん。オアフ島ホノルル市の景色が素晴らしい高台の上に住み、絶景のラナイを工房にして日々作品を制作しています。
モザイクの勉強を始めたのは随分前のことだけれど、子育てに忙しかったターニャさんがフルタイムアーティストとして本格的に活動を始めたのは3年ほど前のこと。
20年前からモザイクを独学で勉強し、サーフボードや壁面の上に細かくカットしたタイルを貼り付けて、アートに仕上げていくというユニークなアーティスト、ターニャ・ティアレ・ブラウン(Tanja Tiare Browne)さん。オアフ島ホノルル市の景色が素晴らしい高台の上に住み、絶景のラナイを工房にして日々作品を制作しています。
モザイクの勉強を始めたのは随分前のことだけれど、子育てに忙しかったターニャさんがフルタイムアーティストとして本格的に活動を始めたのは3年ほど前のこと。
ターニャさんがタイルの魅力に取り憑かれた理由の一つは、イタリアのポンペイ遺跡を訪れた時。細かい四角のタイルを敷きつめ、微妙な色の違いでアートを表現するモザイク芸術に圧倒されたターニャさんは、古代の技法などを勉強しました。
「水彩や絵の具は色を混ぜて新しい色を作ることもできるし、紙やキャンバスに自由に描けるけれど、タイルは大きなサイズ、小さなサイズ、色も決まっているから自由度が断然に低い。だからこそ、このチャレンジ性が私を夢中にさせています」とターニャさん。
ヨーロッパやアジアなど世界中から集めたタイルは、工具や小さなマシーンを使って精密にカットされ、ひとつひとつ定規を使って並べていきます。光をより反射するタイルは意図的にはめ込む場所を決めて、照明や太陽光、月の光などに綺麗に反射して、よりアートが美しく映えるようにデザインしていくのです。サーフボードのアートを一つ仕上げるのにかかる時間は、なんと100時間ほど!
「インテリアショップのサンプルタイルや、友人が家の改築で使ったタイルの余ったものももらっています。使わないかもしれないけれど、いざという時に役に立つこともあるし、何よりもハワイのゴミを減らしタイルに新しい命を与えられることができるから。
サーフボードも中古のものをもらって再利用しています。旦那さんやボーイフレンドはサーフボードを手放すのに心残りがありそうな表情で持ってくるけれど、一緒に来る妻やガールフレンドは部屋にスペースができたと嬉しそうなの!」と笑いながら語るターニャさん。
小さなハワイの島で増え続けるゴミを少しでも減らし、アップサイクルしたいという思いもこのビジネスの中核にあるのです。
そんなターニャさんのアーティストとしてのキャリアは程なくして開花しました。オアフ島の東岸の豪邸の外壁、8メートル近い幅のコオラウ山脈を描いた大きなモザイク画をパンデミック中に1年かけて作成。
依頼をくれたオーナーの自宅は、ターニャさんが以前作成したゴールドの目をあしらった美しいタコのモザイク画があり、このアートを気にいったことからのスペシャルオーダーで、パンデミックの大変な時期に、ターニャさんは作品を作ることで生活をすることができたのです。
そして2023年・2024年と2年連続でオアフ島ノースショア、サンセットビーチで開催されるプロサーフィン大会、ハーレープロ(Hurley Pro)の優勝トロフィーの制作を依頼されました。
2023年はフルサイズのサーフボードを、2024年はハーフサイズのサーフボードトロフィーを制作しました。そして定期的にカスタムアートのオーダーが入るようになり、顧客リストの中にはアメリカの有名なミュージックセレブリティーも!また、2024年夏にはハワイ島ヒロの州立美術館ワイロア・アートセンター(Wailoa Art Center)のアートショーに招待され、アワードを受賞しました。
ユニークなスタイルと、モザイクへの熱い情熱が支えとなっているターニャさんがここまでモザイク画にこだわる理由は、コンテンポラリースタイルのモザイク画を広げていくこと。そしてもちろん、サステナビリティー。ラナイで作業を始めて25分もすると周りのノイズが取れ、頭の中のドアが開いたような感覚がしてアートに集中していくのだそう。
ターニャさんの父親はスイス人の建築家で特にアーバンデザインが専門、母親はドイツ系でクラフトを得意とする家系。二人が恋人同士だった60年代、父親はアジアに住み、母親がアメリカ東海岸に住んでいて遠距離をしていたそうで、待ち合わせた場所がちょうど二人の位置から真ん中となるハワイだったのです。
ハワイを気に入った若き恋人はハワイ移住を決意し、その後ターニャさんが誕生しました。ターニャさんは、両親からデザインとクラフトの才能を受け継いで、ユニークな作品をハワイで作り続けています。
そんなターニャさんは、最近友人たちにモザイク画のワークショップを始め、手を使うことの大切さを説いているそうです。そして将来の夢は、色々な分野のモノづくりメーカーたちのために広いシェアスペースを提供すること。
現在、ターニャさんの作品はカイムキのフュージョン・カフェ+ワイキキ(Fusion Café + Waikiki)の店内で見ることができます。近い将来、もっとターニャさんの作品がハワイのあちこちで見ることができそうな予感です。